ANAインスピレーション優勝は、平均飛距離323ヤードの21歳

2年前に「いつかは」と誓ったポピーズポンドへのダイブを実現したタバタナキト 写真・Getty Images
2年前に「いつかは」と誓ったポピーズポンドへのダイブを実現したタバタナキト 写真・Getty Images 【拡大】
 4日間の平均飛距離が323ヤードと聞けば、男子選手のことだと思うだろう。しかし、これは女子メジャーのANAインスピレーションでツアー初優勝を遂げたパティ・タバタナキトのものだ。

 計測は2番、3番の2ホールで、一定の距離を超えると下っているホールとはいえ、2日目は339ヤード、3日目は348ヤードを飛ばし、もちろん大会出場選手中、断トツで1位。すべてのパー5ホールで2オンし、パー4ホールの2打目は9番アイアン以下がほとんどだったというから、飛距離はタバタナキトの優勝に大きな武器となったのだろう。

 ちなみにブルック・ヘンダーソン、ギャビー・ロペス、レクシー・トンプソンも4日間平均が300ヤードを超えており、女子選手の飛距離が伸びていることは明らかだ。

 タバタナキトはタイ・バンコクの出身。ジュニア時代は父と二人で米国へ遠征、当時からロングヒッターとして知られていた。2016年には全米ジュニアゴルフ協会のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーも獲得している。大学はUCLAに進学、NCAAで活躍した。

 18年秋、米LPGAツアーのQシリーズを受けたが、このころ不振が続いていたタバタナキトはツアーカードを得ることはできなかった。逃げるように大学に戻ってもしばらく不振は続いたが、19年春にようやく復調。NCAAチャンピオンシップが終了した6月にプロ転向を果たし、下部のシメトラツアーに参戦、3勝を挙げて昨年からのレギュラーツアー出場資格を獲得した。

 タバタナキトは同じタイ出身のジュタヌガーン姉妹の影響か、ビジョン54のコーチングを受けている。最終日前夜「何度も数字を100まで数えた」と、眠れない時間を過ごしたタバタナキトに、朝、コーチからメッセージが入った。

「どんなにいいプレーをしても勝てないかもしれない。それほどいいプレーではなくても勝つかもしれない。他の人がすることはコントロールできない。できるのは自分だけ」

 その言葉を受け、タバタナキトは最後までリーダーボードを見ずプレーした。飛距離は大きな武器だが、最終的にはメンタルの充実が優勝を引き寄せた。

 2年前、タバタナキトは第1回オーガスタ女子アマ選手権の出場を断って、同週に開催されたANAインスピレーションに出場、ローアマを獲得した。このとき優勝のコ・ジンヨンがポピーズポンドに飛び込む姿を目の当たりにすると、SNSに写真と「One day(いつかは……)」と投稿した。

「あれから2年後に自分が飛び込むことになるとは。夢がかなった」

 次は「グランドスラム達成」の夢に向かって、タバタナキトは走り始めた。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2021年4月27日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。

関連記事一覧

ツアー最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

ツアー・トーナメント