ショートパットを外して思わず……ジャスティン・トーマスがつぶやいた言葉

1打足りずプレーオフには進めなかったが3位と2021年の好スタートを切ったトーマス。世間の信頼を回復できるか 写真・Getty Images
1打足りずプレーオフには進めなかったが3位と2021年の好スタートを切ったトーマス。世間の信頼を回復できるか 写真・Getty Images 【拡大】
 米PGAツアーの年明けは、ジャスティン・トーマスの話題で持ち切りだった。

 セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ3日目、上位で戦っていたトーマスがショートパットを外した自身に腹を立て、同性愛者を侮蔑するスラングを発したのだ。放映中の米ゴルフチャンネルがその言葉を拾うと、あっという間にSNSは炎上した。

 トーマスはラウンド直後に、

「言い訳は一切できない。本当に恥ずべきことだ。成長した大人として、自分らしくない行動だった。2度としないと誓う」

 と、テレビインタビューを通じ謝罪した。

 米PGAツアーは「トーマスの言動は受け入れられない」と声明を出し、公表はされないが、罰金を科したのは間違いない。

 さらに、トーマスのメインスポンサーの一つで、ウェア契約を結ぶラルフ・ローレン社は、契約解除を発表した。

「トーマス氏の発した言葉に大きく落胆した。われわれの価値にまったく相反する。謝罪は行われても、ブランドのアンバサダーとして金銭を授受している同氏との契約を継続することはできない」

 人気も実力もあるツアーの看板選手への厳しい処置に対し、多くのメディアは「ラルフ・ローレン社は正しい選択をした」と評価、「ツアーはなぜ罰金だけで出場停止にしないのか」という声も挙がった。

 ラルフ・ローレン社の迅速な対応は、ファッションカンパニーとして大衆へ発信するイメージをとても大切にしている以上、当然といえる。また、同社は昨年LGBTが最も働きやすい会社として人権団体から選出されている。

 そして昨年は“ブラック・ライブズ・マター運動”が話題となり、以前よりさらに、人種、性別、年齢などあらゆる差別に対して厳しい処置が求められている時勢もある。

「誰かを罵(ののし)ったわけではなく、自身につぶやいただけだが、スポンサーを代表する限り、周りには常にカメラやマイクがあることを意識しなければならない。そもそもその言葉が出るということは、根底に差別意識が存在するのだ」(ラルフ・ローレン社)

 過去に失言でスポンサーを失った例として有名なのは1997年、タイガー・ウッズがマスターズで初優勝した際の、ファジー・ゼラーだろう。

「来年のチャンピオンズディナーはフライドチキンでなければいい」

 と、アフリカ系アメリカ人が好んで食べるとされるものを引き合いに出し、すべての契約が打ち切られた。

「今後、トーマス氏が必要かつ厳しい成長を遂げれば、またわれわれのパートナーとなることを願う」(ラルフ・ローレン社)

 今後の注目は、同じくトーマスと契約するタイトリスト、フットジョイの対応だ。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2021年2月9日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。

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