米LPGAツアー復活のキーマン、マイケル・ワン氏が辞任を発表

12月の会見では、コロナ禍の中、今季のツアー規模拡大をうれしそうに報告したワン氏。その辣腕が離れることが惜しまれる 写真・Getty Images
12月の会見では、コロナ禍の中、今季のツアー規模拡大をうれしそうに報告したワン氏。その辣腕が離れることが惜しまれる 写真・Getty Images 【拡大】
 米LPGAツアーを11年間率いてきたコミッショナーのマイケル・ワン氏が年内に辞任すると発表された。

 12月に開催された昨季最終戦のCMEグループツアー選手権の際、今季34試合とソルハイムカップのスケジュールと、コロナ禍にあってもツアー史上最高の賞金総額7600万ドルを実現できたことを力強い言葉で発表したばかりだ。ワクチン接種が始まったとはいえ、新型コロナウイルスの感染はいまだ収束が見えない。この厳しい時期になぜか。

「もし米LPGAツアーが安定していなければ、私は決して辞めることはなかった。ツアーは財政的にも過去になく安定している。だからこそ今が退任するときだと思う。

 昨年は他のスポーツと同じくツアー中断に見舞われたが、その対応策に追われる中で、ツアーチーム、スタッフらは本当によく働いてくれた。私の存在がなくても大丈夫、次のリーダーにバトンタッチするべき時期だ、とコロナ禍にあるからこそ分かった」

 ワン氏が就任したのは2010年1月。当時、ツアーは年間24試合、賞金総額は4100万ドルまで減少していた。前任者が米国の好景気に乗じて古くからの大会スポンサーとの関係をこじらせたうえ、外国人選手に英語を話すルールを課すなどの理由から選手が大きく反発し、選手会からのリコールで退任に追い込まれた後を受けての着任だった。スター選手のアニカ・ソレンスタムとロレーナ・オチョアが相次いで引退し、多くのプロスポーツがそうであるように、男子ツアーと比べて放映権料、チケット収入などすべてが小規模、潤沢な資金はなかった。

 就任当時44歳だったワン氏は、エネルギッシュに動き回り、もつれを一つずつほどいていった。スポンサーや選手たちと直接語り合い、メディアにも声を掛けていった。

 そうして少しずつスポンサーが増え、テレビの放映時間も拡大されていった。課題の一つだった開催コースのグレードアップも徐々に実践され、PGA・オブ・アメリカと連携してメジャーのKPMG全米女子プロ選手権を開催することにこぎ着けたのもワン氏だ。

「09年の大会減少、そして昨年のコロナ禍。ワン会長は米LPGAツアーを2度救ってくれた」

 と、ベテランのジュリ・インクスターは感謝するが、現在ツアーで活躍中の若い選手たちは、09年の危機を知らない。

 退任の時期は「今年のいつか」とだけ伝えられており、これから後任を探すことになる。2月に56歳となるワン氏は、今年いっぱいで引退する全米ゴルフ協会(USGA)のCEO、マイク・デービス氏の後任になると推測するメディアもある。後任とワン氏の今後に注目したい。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2021年2月2日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。

ツアー最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

ツアー・トーナメント

フォトギャラリー

トーナメントプロ公式サイト・ブログ