飛距離に重点を置いたデシャンボーと“飛ばない”ランガーの同組での戦い

4日間の平均飛距離は最下位ながら、予選通過の最年長記録を更新した63歳のベルンハルト・ランガー。最終日は71でプレーし29位タイに 写真・Getty Images
4日間の平均飛距離は最下位ながら、予選通過の最年長記録を更新した63歳のベルンハルト・ランガー。最終日は71でプレーし29位タイに 写真・Getty Images 【拡大】
 史上初の秋開催となったマスターズ、“パトロン”なしとなるなど異例ずくめだったが、世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンが、圧倒的な強さを見せて初のグリーンジャケットを獲得した。

 開幕前、「気温は低く、コースがソフトでランが出ない」、「夏のバミューダ芝が残っていて、芝質が違う」、「ロングヒッターが絶対有利」など秋ならではの状況がいろいろと想定され、多くの選手が飛距離対策を講じて臨んだ。

 ブライソン・デシャンボーは大会前の4週間、マスターズのための調整に充てた。350ヤードを飛ばすために48インチのドライバーを準備。最終的には封印したが、ロフト角を5.5度から4.5度に調整した。

「ティショットはバッターボックスからホームランを打つような感じ」

 4日間の平均飛距離は324.4ヤードと、2位のディラン・フリッテリに10ヤード近い差をつけて1位。しかし安定を欠いて林に打ち込むこともしばしば、予選通過は果たしたが優勝争いにはまったく絡めなかった。

 そのデシャンボーと最終日に同組でプレーしたのが、63歳で予選通過最年長記録を更新したベルンハルト・ランガーだ。1985年、93年の優勝者は、シニアになってからツアーで圧倒的な強さを見せているが、平均飛距離は約260ヤード。予選通過した60人で最下位だった。ランガーは第3ラウンドでは平均飛距離315.0ヤードで3位のローリー・マキロイと同組だった。

「二人のティショットは素晴らしくて、毎回50~60ヤード置いていかれた。でも見ないようにと自分自身に言い聞かせた。パー4の2打目は何度も3番ウッドやハイブリッドで打ったけど、このコースのプレーはよく分かっている。パットが入れば私はまだまだ戦える」

 と最終順位は29位タイで、デシャンボーを上回った。

 実際に11月のオーガスタナショナルGCは思った以上に暖かかったが、雷雨にも見舞われフェアウェイもグリーンも非常に軟らかかった。そのせいで4月開催よりもずっとランが出なかったのは事実だ。しかし、ランガーの成績は飛距離を偏重する現在の風潮に一石を投じたように思える。

 プレーを終えたデシャンボーは、

「ランガーのプレーは見事だった。ボクがどれだけ飛ばしても、ボクよりもスコアがよかった。それがゴルフの素晴らしいところで、どうやってプレーしてもスコアがいいほうが上。年齢も飛距離も関係ない」

 ジョンソンが優勝したことで、飛距離の出る選手が有利だったと感じられる秋のマスターズだが、ランガーとデシャンボーの戦いは、来年4月の今季2度目のマスターズに向け、選手たちの攻略計画に影響を及ぼすかもしれない。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2020年12月8日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。

関連記事一覧

ツアー最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

ツアー・トーナメント

フォトギャラリー

トーナメントプロ公式サイト・ブログ