
今年のAIG女子オープンは、大会前の世界ランキングは304位のソフィア・ポポフが、ツアー初勝利をメジャーで飾った。
普段は下部のシメトラツアーを主戦場としているポポフがこの大会の出場権を獲得したのは、新型コロナウイルス感染対策により、多くのトップ選手が海外遠征を自粛、ツアーに戻っていないことがきっかけだ。
2週前のマラソンクラシックで9位タイとなったポポフに出場順位が下りてきた。そのため、翌週はシメトラツアーのファウンダーストリビュートに参戦し、渡英する強行出場となった。
ポポフは、シメトラツアーで戦ってはいるが米LPGAツアーのメンバーではないので、この優勝で、メンバーが獲得する5年シードではなく、今季の残りを含めての2年シードしか獲得できなかった。昨年優勝の渋野日向子も同じだったが、ポポフがドイツ人であることから、欧州出身の男子トッププロが、SNSで反応した。
「(2年シードは)米LPGAツアーにとって、もっといえばゴルフ界にとって恥ずかしいことだ。誰かが何とかしなければいけない。最高のストーリーが数日後には最悪になった」(イアン・ポールター)
「ゴルファーはみんなメジャーで勝つことを夢見て戦っている。ソフィア・ポポフは素晴らしい達成をしたのにバカげたルールだ。だけどソフィア、今のプレーを続けていたらシードなんて心配することない」(トミー・フリートウッド)
「米LPGAツアーのルールはよく分からないが、ソフィアの勝利は5年シードを得るに値する素晴らしい戦いだった」(ジャスティン・ローズ)
確かに米PGAツアーでは、メジャーも他のツアー競技も、メンバーもノンメンバーも優勝で得られる権利は同等だ。
一方で、4月に開催される予定だったANAインスピレーションが、新型コロナウイルス感染対策の影響で9月に延期となった。出場選手は3月に確定していた資格がそのまま採用される。そのため、ポポフはANAインスピレーションには出場できない。
男子も4月のマスターズが11月に延期され、その出場資格は4月の時点で決定していた選手のみが得るのだが、ポポフの優勝が劇的だったために、ANAインスピレーションに出場できないことが目立つ形となった。
米LPGAツアーのコミッショナー、マイケル・ワン氏は、「ポポフ選手の勝利は本当に素晴らしく、ジュニアやシメトラツアーでプレーする選手に大きな夢を与えた。が、ルールをシーズン中に変えることはない。ただし、シーズンオフには変更が議題に挙がる可能性はある」
新型コロナウイルス感染対策が、思わぬ議論を呼ぶこととなった。
文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2020年9月22日号)掲載
武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。
普段は下部のシメトラツアーを主戦場としているポポフがこの大会の出場権を獲得したのは、新型コロナウイルス感染対策により、多くのトップ選手が海外遠征を自粛、ツアーに戻っていないことがきっかけだ。
2週前のマラソンクラシックで9位タイとなったポポフに出場順位が下りてきた。そのため、翌週はシメトラツアーのファウンダーストリビュートに参戦し、渡英する強行出場となった。
ポポフは、シメトラツアーで戦ってはいるが米LPGAツアーのメンバーではないので、この優勝で、メンバーが獲得する5年シードではなく、今季の残りを含めての2年シードしか獲得できなかった。昨年優勝の渋野日向子も同じだったが、ポポフがドイツ人であることから、欧州出身の男子トッププロが、SNSで反応した。
「(2年シードは)米LPGAツアーにとって、もっといえばゴルフ界にとって恥ずかしいことだ。誰かが何とかしなければいけない。最高のストーリーが数日後には最悪になった」(イアン・ポールター)
「ゴルファーはみんなメジャーで勝つことを夢見て戦っている。ソフィア・ポポフは素晴らしい達成をしたのにバカげたルールだ。だけどソフィア、今のプレーを続けていたらシードなんて心配することない」(トミー・フリートウッド)
「米LPGAツアーのルールはよく分からないが、ソフィアの勝利は5年シードを得るに値する素晴らしい戦いだった」(ジャスティン・ローズ)
確かに米PGAツアーでは、メジャーも他のツアー競技も、メンバーもノンメンバーも優勝で得られる権利は同等だ。
一方で、4月に開催される予定だったANAインスピレーションが、新型コロナウイルス感染対策の影響で9月に延期となった。出場選手は3月に確定していた資格がそのまま採用される。そのため、ポポフはANAインスピレーションには出場できない。
男子も4月のマスターズが11月に延期され、その出場資格は4月の時点で決定していた選手のみが得るのだが、ポポフの優勝が劇的だったために、ANAインスピレーションに出場できないことが目立つ形となった。
米LPGAツアーのコミッショナー、マイケル・ワン氏は、「ポポフ選手の勝利は本当に素晴らしく、ジュニアやシメトラツアーでプレーする選手に大きな夢を与えた。が、ルールをシーズン中に変えることはない。ただし、シーズンオフには変更が議題に挙がる可能性はある」
新型コロナウイルス感染対策が、思わぬ議論を呼ぶこととなった。
文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2020年9月22日号)掲載

大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。