ツアー再開で注目必至のコロニアルCC、17年前に起こったフィーバーは?

ディーン・ウイルソン、アーロン・バーバーと同組でプレー。ウイルソンは「一緒に回って緊張した」、バーバーは「とても楽しかった」と話した 写真・Getty Images
ディーン・ウイルソン、アーロン・バーバーと同組でプレー。ウイルソンは「一緒に回って緊張した」、バーバーは「とても楽しかった」と話した 写真・Getty Images 【拡大】
 米PGAツアーが6月11日からの再開スケジュールを発表し、初戦となるチャールズ・シュワブチャレンジが、大きな注目を集めている。

 この大会が世界から熱視線を浴びるのは、これが初めてではない。2003年、当時の女王、アニカ・ソレンスタムが、1945年のベイブ・ザハリアス以来58年ぶりに男子トーナメントに挑戦した。

 初日の朝は、まるで男子のメジャートーナメントのような喧騒だった。8時59分、10番ティからスタートするソレンスタムの“歴史的瞬間”を見ようと大きな人垣ができた。テレビカメラがずらりと並び、ソレンスタムの母国、スウェーデンからも取材陣が駆けつけた。いつも堂々としていて近寄り難いオーラを放っている女王も、この日は緊張とプレッシャーから、ずっと小さく見えた。

「アニカ・ソレンスタム、フロム・ストックホルム、スウェーデン」とアナウンスされると、いつものように手を数回上げて歓声に応えたが、後に、全身の震えが止まらなかった、と告白している。

 4番ウッドでのティショットは、「こんなに緊張したことはない」そうだが、フェアウェイをとらえると、全身から力が抜けたようによろけながら、ようやく笑顔になった。

 当時、女子選手が男子の試合に出場することには賛否両論あり、反対派のビジェイ・シンは「アニカと同組になったら棄権する」と欠場を決めた。一方、親交の深かったタイガー・ウッズは全面的にサポートし、大会期間中も連絡を取り、

「ボクよりショットが真っすぐ飛んでいるよ」などとエールを送っていたそうだ。

 コロニアルカントリークラブは全長7080ヤード・パー70で、ツアーの中でも短いほうだが、予選通過には4打及ばず、戦い終えたソレンスタムは涙を拭った。

「戦う機会をもらえて感謝したい。男子の試合に挑戦しようと決意したのは、もっとうまい選手になりたかったからと、そして人としても成長したかったから。だからこそ男子ツアーへの挑戦は一度限りのことにしたい」

 ジュニア時代は、優勝スピーチをするのがイヤで、わざと2位になったというほどシャイだったソレンスタム。

「あのコロニアルCCで戦った後、どんな困難なことでも自分で対処できると思えるようになった」

 と、男子ツアーへの挑戦が人生を大きく変えた、と振り返る。

 再開が実現するか、まだ分からない米PGAツアーだが、コロニアルCCが03年にも負けない熱気に包まれる光景を、今から思い浮かべている。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2020年5月26・6月2日合併号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。 2011年、LPGAグローバルメディア賞を受賞。世界ゴルフ殿堂の選考委員も務める。

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