メーカーの垣根を越えた女性ゴルファー拡大運動の中心人物

右から二人目が小山
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「ゴル女増やそう委員会」。そんな名前でゴルフの底辺拡大に奔走している人がいる。小山明子。住友ゴム工業スポーツ事業本部企画業務部で広報を担当する仕事の一環として始まった活動は今、様々な枠を超えて広がっている。

レディス記者発表会からの広がり

レディスゴルファー活性化検討会での一コマ
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始まりは、一つの記者会見だった。21世紀に入って、日本のゴルフギアをリードしてきたダンロップのゼクシオ。その9代目となるゼクシオナインの記者発表会が、2015年10月に行われた。その時、小山が企画したのがレディス記者説明会。女性ゴルファーが増えつつあるとはいえ、まだまだ男性用主導で、レディスクラブは“添え物”感が強い業界で、レディスクラブを強くアピールしようとした小山が、各部門の協力を取り付け、企画したものだった。
別室で行われたゼクシオナインレディスの製品説明会場は、開発担当者以外は、クラブを宣伝する側も記者側も女性ばかりが顔を揃えた。これは業界的にはかなり異例のことだ。一般的な新製品発表では、男性用のクラブに対する説明と質疑応答が行われ、レディスクラブに関しては最後に「レディスもあります」の一言で終わることが多い。それどころか、一言も触れられることなく、リリースでレディスクラブの発表が告知されるだけで「ああ、売っているのだな」と、認識される。そんな状況だった。
Reginaのようなレディスゴルフ誌やCURUCURUのようにレディスゴルファー向けのウェブサイトができるなど、以前と比較すればゴルフのレディス市場は広がりを見せているように見えてはいても、だ。
小山は、そんな状況を何とかしようとした。それが女性記者を対象にした説明会だ。販売や売り上げなど企業寄りの説明会、商品に関する技術的な説明会。そしてレディス説明会。事前に女性記者に声をかけることも忘れなかった。狙いはピタリと当たった。当日は14名の女性記者、編集者が集結。お茶とケーキまでふるまわれる和やかな雰囲気の中、レディスクラブだけの説明がなされた。メンズクラブとは設計もデザインも違うこと、特にボールが上がりやすくなっていること。質疑応答も活発に行われた。ゼクシオナインレディスに関することはもちろんだが、それ以外の話題も忌憚なく話された。日頃から体型も筋力も十人十色なのに「レディス」の一言で女性ゴルファーが十把一絡げにされていることに理不尽さを覚えている者も多いメディア側からの言葉が途切れることはなかった。

ゴル女増やそう委員会

ゴル女ふやそう委員会は本格的なロゴまで制作
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「ゼクシオ人気が高くなってきて、女性向けの発信をしたいと考えるようになっていました」という小山の思いが、女性記者説明会を企画した根本にはあった。これが、さらに大きな動きへとつながっていく。翌年9月に発足した「レディスゴルファー活性化検討会」がそれだ。特筆すべきはメディア関係だけでなく、他メーカーの女性スタッフの参加もあったことだ。小山の発案で行われたジャパンゴルフフェアの「レディスコンシェルジュ」のレポートや、ReginaやCURUCURUからのイベントレポート。さらにマルマンの「働く女性のためのゴルフ交流イベント」のレポートまであった。
断続的に行われる検討会では、堅苦しい報告ばかりではなく、本音が次々飛び出した。参加者自身の話や、その周辺の声として生々しい言葉が次々に出る。「子育てで中断したゴルフを再開するには」「ゴルフを一緒にする友達がいない」「ラウンドから帰って食事の支度をしなければならないのがめんどうだ」などなど、女性特有の視点からの意見が飛び交った。
その後、フェイスブックでグループが作られ、2018年4月の第4回からは男性も参加。ギアの話や他業界の例、ロゴの提案などへと広がっていく。昨年12月の第8回からは「ゴル女ふやそう委員会」へと名称を変更。より柔らかいイメージでの展開を始め、さらなる広がりを見せようとしている。

ゴルフにはまって業界に就職

小山自身は、大学入学と同時にゴルフを始めた。両親が楽しそうにプレーしているのを見て育ち「そんなに面白いの?」と、初めて握ったのは母のゴルフセット。明治大学ゴルフ部では、ツアー7勝の久保谷健一と同期に当たる。3つ上には今年シニア入りした深堀圭一郎がいた。
基本は個人練習だったため、最初の先生は父。母の付き添いでショートコースでデビューした。大学のリーグ戦なども今以上に盛り上がっていた時代で、応援に熱が入ったこともある。「ゴルフ場の爽快感とナイスショットの感覚が忘れられない」と、はまっていき、面白くなり「もっとゴルフを続けたい」と考え、先輩のつてで入ったのがダンロップスポーツエンタープライズ(DSE)。最初はゴルフスクールの立ち上げにかかわり、次がゴルフトーナメント担当。その後、企画室に移り、2003年からSRIスポーツ(現住友ゴム工業)へ出向。広報担当となり、今日に至っている。
プライベートでは結婚し、2010年に出産。9歳になった長女も、ちょうどゴルフに興味を示し始め、クラブを握ったところでもある。

“ゼクジョ”の名付け親

ゴル女増やそう委員会とは別に、ゼクシオテン発表のタイミングで“ゼク女会”も企画した。こちらは、インドア練習場で女性メディア説明会を行った後、インスタグラマーのレディスゴルファーを集めた同様のイベントだ。
メディアではないが、本気度満点のレディスゴルファーたちは、クラブの説明にメモを取り、試打に熱を入れ、真剣にスペックを選ぶ。これをSNSでどんどん発信してもらう。『#ゼクジョ』がSNSで飛び交った。
メーカーの広報という仕事と関連しているとはいえ、それ以上に熱を入れてレディスゴルファーを増やそうと活動する小山。その裏にはこんな思いがある。「OL生活も長いし、結婚する前には夫の人柄もゴルフで分かった。それもゴルフの良さですよね。それに、私自身がママになって、自分が思うようにゴルフをできなくなった視点が大きいかもしれません。それでも、ゴルファーを増やしたい」と、目を輝かせる。
柔らかい物腰で、それでいて芯は強い。そんな小山だからこそ、会社の垣根も何もかも越えて、活動は広がっているに違いない。

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