小平智 後悔しないための決意

完璧な状態で戦うために3週間のオフを作った小平智 
完璧な状態で戦うために3週間のオフを作った小平智  【拡大】
歓喜の優勝から1年。小平智の表情が険しい。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ米国男子ツアー「RBCヘリテイジ」。最終日にプロ転向後自己ワーストスコアタイとなる「82」を叩くなど、予選を通過した選手の中で最下位の70位で4日間を終えた。
 
「自分の思った球と違う球が出るので気持ち悪い。怖くなるんです」

飛んで曲がらないドライバーショットが小平の武器だが、今はその武器を生かせていない。「3番ウッド以下は調子がいい。同じように振るとドライバーはどこに飛ぶか分からないんです」。小平のゴルフでリズムを作るのはドライバーだが、全幅の信頼を寄せられていない状況だ。アイアンショットやショートゲームでスコアをまとめているが、「だましだましのゴルフでは米国では通用しない」と、今の状態では米国での戦いに限界を感じ始めている。

今の状態になった経緯は2017年の秋までさかのぼる。試合中にエースドライバーのフェースにヒビが入り、”エース交代”を余儀なくされた。さまざまなヘッドでテスト、調整を行い、試行錯誤を繰り返した。その間、昨年はマスターズの出場を決めたり、米ツアーで初優勝を遂げる成績を残したが、エースと呼べるモノが見つからずに、ここまで時間が経ってしまった。

「うまくいっていなくてためこんだ結果が、今溢れ出ている。本当に気持ちよくゴルフができていない」。2度目の出場となった「マスターズ」は2年連続で予選通過を果たした。しかし、第3ラウンドは、3番ウッドをティショットのメインにして、ドライバーを使用したのはわずかに2回と”ほぼ封印”状態。それでも「スイングの流れがよく、一番チャンスを作れた」と18ホールを通して流れはよかったものの、さすがに2打目以降の距離が残るだけに世界のトップ選手と対等に戦うのは難しい。

そして、「RBCヘリテイジ」終了後にある決断を口にした。「3週間休んで、ドライバー探しの旅に出ます。完璧な状態にしたい」と。昨年同大会で優勝を遂げてから多くの試合をこなし、年末年始を含めて3週間以上のオフを取っていない。しかし、今回は“3週間休む”という決断を下した。それはオーガスタの夜だった。

「マスターズは、日本から知り合いがいっぱい応援にきてくれました。その中で自分が後悔のないゴルフができなくて、みんなにもどかしい思いをさせてしまった。遠いところまで来てくれて自分の100パーセントの状態を見せられない。100パーセントで予選落ちをするなら後悔はないけど、100パーセントの状態じゃないから。ドライバーショットを見に来ているのに、3番ウッドのティショットとか見せてとか。ちょっと試合を休もうと思いました」

ゴルファーなら誰もが憧れる晴れ舞台。小平は家族以外の友人、知人が10人以上訪れていた。その応援してくれる身内に自分のゴルフを見せられないもどかしさを感じ、時間を作って本格的に”エース”を探すことを決めた。

「1カ月ぐらい休んでちゃんとドライバーを探して、完全な状態にしないと。このままずるずる米国で過ごしていても、今年もそうだし、来年ももしダメだったとしても後悔はしたくない。今のドライバーをこのまま嫌々使ってやって後悔するより、いろんなことをやって後悔したい。やらないで後悔するより、やって後悔するほうがいい。優勝してからそういうこともできないぐらい試合に出ているので、今はそういう期間も大事かなと思います」

昨年の「RBCヘリテイジ」では最終日に6打差を追いついてプレーオフを制し、初優勝を遂げた。来季までの複数年シードも獲得した。昨年10月から始まった今季は、15試合に出場してWGC-デルテクノロジーズマッチプレーの24位タイが最高で、フェデックスポイントランキングは153位とシード圏外にいる。2019年に入って3月のザ・プレイヤーズ選手権まで予選カットのある6試合に出場して5度の予選落ちを経験していたが、「アイアンショットやショートゲームの調子がよくなってきた」というバルスパー選手権以降、ストロークプレーの試合は3戦連続で決勝ラウンドにコマを進めている。

「今は、アイアンショットやショートゲームの自信があるので予選を通れています。あとはドライバーです」。子供の頃から夢見た米国の舞台。チャンスを得た今、後悔しないために、3週間の休養でドライバーと真剣に向き合う。

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