ブレないスイングをつくった松森彩夏

日本女子ツアー第7戦、KKT杯バンテリンレディスオープン。初日を終えた時点で、松森彩夏が2アンダーで6位タイに入った。松森は今季4戦目。初めてのアンダーパーだった。

2014年にツアーデビュー。15年に賞金ランキング40位で初のシード入り。16年には富士通レディースで初優勝。着実にトップ選手への階段を上っていた松森だったが、17年に失速。シード権を失った。そして今季はQTランキング80位の出場資格。出場できる試合は限られている。一戦も無駄にはできない。

賞金ランキングが17年66位、18年89位。結果が出せない状況に、昨シーズン終了後、松森はコーチを変えた。新しいコーチは辻村明志。その結果が、ようやく出始めた。

「ゆるまなくなったというか、軸がブレなくなってスイングが安定しました。トップで打つ体勢がしっかりつくれて、切り返しの間が一定になりました。辻村さんに教わった全力の連続素振りを毎日やっているおかげかなと思います」と、松森。

辻村は教える選手たちに、全力で振る素振りを毎日課している。全力で15回振り、1球ボールを打つ。それを10セット行う。

今シーズン開幕戦、ダイキンオーキッドレディスの練習日。全力で連続素振りをする松森彩夏とコーチの辻村明志
今シーズン開幕戦、ダイキンオーキッドレディスの練習日。全力で連続素振りをする松森彩夏とコーチの辻村明志 【拡大】
「15回も全力で振ると、100メートルを全力疾走したぐらい息が上がります。全力で速く振ることで、スイングに無駄な動きがなくなります。余計な動きがあると、速く振ることはできません」と、全力素振りの効果を辻村は説明する。

そして、連続で振ってはいるがトップでのほんの一瞬の静止を意識するのがポイントだという。トップで打つ体勢ができていなければ、力強いつかまった球が打てないからだ。その一瞬の静止が安定したトップの形をつくり、切り返しの間を安定させるのだ。全力で振っているのだから、もちろん筋力アップにもつながる。スイングに必要な体幹の筋力が、自然に鍛えられてスイング軸を安定させるのだ。

全力の素振りは、世界のホームランバッター王貞治を育てた故・荒川博氏から教わったものだ。王貞治は若いころ、足下の畳が破れるくらい素振りを繰り返していた。辻村は、それをゴルフスイングに応用したのだ。

ショットがよくなっただけではなかった。今季これまでの松森は、パッティングが悪かった。ダイキンオーキッドレディスでは予選2日間の平均が29.5ストローク。Tポイント×ENEOSゴルフトーナメントでは34ストローク、アクサレディスゴルフトーナメントは32ストローク。それがKKT杯バンテリンレディス初日は25ストロークだった。

パット・イズ・マネー。ストロークの向上は大きくスコアに出る。

連続素振りの効果が、パッティングにも現れていた。ブレない軸は、小さな振り幅のパッティングストロークにも有効なのだ。そして短い距離の目標を狙う練習の効果も出たという。

1メートル先に置いたペットボトルを目標にボールを打つ練習を繰り返した
1メートル先に置いたペットボトルを目標にボールを打つ練習を繰り返した 【拡大】
「1メートルほど先に置いたペットボトルを狙って打つ練習を繰り返しています。出球が安定することが大事。そのためにはヘッドがいつも同じところに出ていなければなりません。打ち出しのところにパチンコ球を二つ置く練習器具を使ってやっています」と、松森。

ヘッドがしっかり出ていれば、ボールの先に置いたパチンコ球にヘッドは当たらない。左のパチンコ球にヘッドが当たれば、出球も左へ。右のパチンコ球にヘッドが当たれば、右へ打ち出しているということ。自ら球を曲げることのないパッティングでは、真っすぐボールを転がしてラインに乗せることが肝心。そのために大事なのが、打ち出しなのだ。
打ち出しのところに二つのパチンコ球を置く練習器具を使う。真っすぐ打ち出していれば、ヘッドはパチンコ球に当たらない。左のパチンコ球にヘッドが当たれば、ボールは左に。右のパチンコ球にヘッドが当たれば、ボールは右に打ち出される
打ち出しのところに二つのパチンコ球を置く練習器具を使う。真っすぐ打ち出していれば、ヘッドはパチンコ球に当たらない。左のパチンコ球にヘッドが当たれば、ボールは左に。右のパチンコ球にヘッドが当たれば、ボールは右に打ち出される 【拡大】
辻村はこれまで、上田桃子、比嘉真美子を復活優勝に導いている。そして、小祝さくらをトップ選手に育てた。その指導は、情熱的でゆるぎない。フェアウェイを笑顔で歩く松森の姿を見られるときは、きっと訪れるだろう。松森が再びトップに戻ってくる日は遠くないと確信する。

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