
WGC-メキシコ選手権でダスティン・ジョンソンがツアー20勝を挙げた。
「永久シードは、ずっと目標だった。ようやく達成できてうれしい。これでスケジュールを心配することもなくなった」
と喜びを語ったのだが、残念ながらジョンソンはあと3年待たなければ永久シードは与えられない。どうやらジョンソンは勘違いしていたようだ。
というのも、米PGAツアーの永久シードの条件は、ツアー通算20勝と、フルタイムメンバーとして15シーズンを戦うことの二つだ。ジョンソンは現在12年目である。
永久シードを獲得すると、その後は生涯にわたり、メジャー、世界選手権、招待試合を除くレギュラーツアーに、ポイントランキングにかかわらず出場することができる。そして、ツアーメンバーに課せられている25試合の出場義務が免除される。
現行のルールでは、出場試合が25試合に達しない場合、過去4年間で一度も出場していない試合のうちの1つに出場すればペナルティを回避できるのだが、45歳以上はこの限りではない。つまり、「若い選手はたくさん試合に出るか、これまで出たことのない試合に出場して」というのがツアーの意向だ。34歳のジョンソンは今季の出場予定試合が25試合に満たないため、新しい試合を加えないといけないのだが、うまくスケジューリングできなくて困っていた。そのため、20勝を達成したことで、永久シードが適用されると思い喜んだようだが、今年はどこかで1試合を加えるしかなさそうだ。
さて、ジョンソンで38人目となったツアー20勝以上の選手。80勝のタイガー・ウッズ、44勝のフィル・ミケルソンは永久シードの資格はあるが、別の資格でシードを確保しているため、まだ行使していない。
永久シードを行使して出場するためには条件がある。平均ストロークがツアー平均を3打以上上回らないことと、1シーズンで1試合以上出場することだ。
よって、39勝のトム・ワトソンや20勝のグレッグ・ノーマンは、現在ツアーに参戦する資格がない。永久シードの資格を行使しているのは、34勝のビジェイ・シン、21勝のデービス・ラブIIIだ。
そして、現在19勝であと一歩というところで止まっているのがアーニー・エルス。先日のザ・ホンダクラシックでは、初日2位と好発進し期待がかかった。2日目に順位を落としたが、
「19勝で足踏みが続いているが、なんとしても20勝を挙げたいと何年も思ってきた。もう49歳だから受ける恩恵はそれほど大きくないかもしれないが、やはり達成には大きな意味があると思う」
と、意気込みを見せていた。永久シードというのはやはり偉業なのだ。
文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2019年3月26日号)掲載
武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。
「永久シードは、ずっと目標だった。ようやく達成できてうれしい。これでスケジュールを心配することもなくなった」
と喜びを語ったのだが、残念ながらジョンソンはあと3年待たなければ永久シードは与えられない。どうやらジョンソンは勘違いしていたようだ。
というのも、米PGAツアーの永久シードの条件は、ツアー通算20勝と、フルタイムメンバーとして15シーズンを戦うことの二つだ。ジョンソンは現在12年目である。
永久シードを獲得すると、その後は生涯にわたり、メジャー、世界選手権、招待試合を除くレギュラーツアーに、ポイントランキングにかかわらず出場することができる。そして、ツアーメンバーに課せられている25試合の出場義務が免除される。
現行のルールでは、出場試合が25試合に達しない場合、過去4年間で一度も出場していない試合のうちの1つに出場すればペナルティを回避できるのだが、45歳以上はこの限りではない。つまり、「若い選手はたくさん試合に出るか、これまで出たことのない試合に出場して」というのがツアーの意向だ。34歳のジョンソンは今季の出場予定試合が25試合に満たないため、新しい試合を加えないといけないのだが、うまくスケジューリングできなくて困っていた。そのため、20勝を達成したことで、永久シードが適用されると思い喜んだようだが、今年はどこかで1試合を加えるしかなさそうだ。
さて、ジョンソンで38人目となったツアー20勝以上の選手。80勝のタイガー・ウッズ、44勝のフィル・ミケルソンは永久シードの資格はあるが、別の資格でシードを確保しているため、まだ行使していない。
永久シードを行使して出場するためには条件がある。平均ストロークがツアー平均を3打以上上回らないことと、1シーズンで1試合以上出場することだ。
よって、39勝のトム・ワトソンや20勝のグレッグ・ノーマンは、現在ツアーに参戦する資格がない。永久シードの資格を行使しているのは、34勝のビジェイ・シン、21勝のデービス・ラブIIIだ。
そして、現在19勝であと一歩というところで止まっているのがアーニー・エルス。先日のザ・ホンダクラシックでは、初日2位と好発進し期待がかかった。2日目に順位を落としたが、
「19勝で足踏みが続いているが、なんとしても20勝を挙げたいと何年も思ってきた。もう49歳だから受ける恩恵はそれほど大きくないかもしれないが、やはり達成には大きな意味があると思う」
と、意気込みを見せていた。永久シードというのはやはり偉業なのだ。
文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2019年3月26日号)掲載

大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。