殿堂入り中嶋常幸が主宰するアカデミーは、なぜ強い選手を次々生み出せるのか?

アカデミー生たちの活気ある練習風景に相好を崩す中嶋(写真・鈴木健夫)
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 レギュラーツアー通算48勝、シニアツアー通算5勝のレジェンド、中嶋常幸が日本プロゴルフ殿堂入りすることが決まった。昨年、レギュラーツアーからの“卒業”を宣言した中嶋。現在、力を入れていることの一つに、畑岡奈紗や山口すず夏らを育てた「ヒルズゴルフ トミーアカデミー」がある。卒業生が次々と結果を出している同アカデミー。何がいったいすごいのだろうか?
 昨年、米ツアーQTを突破し、畑岡に続く米LPGAツアーメンバーとなった山口すず夏はこう語る。
「米ツアーのQTでは、中嶋さんが試合のときのメンタルの話など昔からしてくださっていたので、参考になりましたし、あとはトレーニングもしてきたので、(ファイナルQTの)8日間のラウンドでもあまりきつくはなかったです。優勝争いをしているときの自分の時間の使い方の話も役に立ちました。相手が遅くても、アメリカは結構遅い人が多いので、自分のプレーをするしかない。そういうときは目の前の1打に集中して頑張ろうという気持ちでしたね」
 中嶋の世界トップレベルでの豊富な経験を生かした講義が糧になっているという。
 トミーアカデミーは、本拠地・静ヒルズCCでの年3回から4回の合宿が主な活動。金曜日18時に集合し、夜間トレーニング。土日は6時からコースに目土をしながらウォーキングし、朝食後8時半くらいから2時間程度トレーニング。その後ショートゲーム練習、本コースや併設ショートコースでのラウンド等をこなす。土曜の夜間はまたトレーニングだ。日程の中で技術指導は3分の1程度。松山英樹のトレーナーである飯田光輝氏が組んだトレーニングや、中嶋の講話によりプロとしての心構えを学ぶことなどが中心だという。
 卒業生ではないが、弟の力がアカデミー生であることから12月の合宿に参加した昨季ステップ・アップ・ツアー賞金女王の河本結は、アカデミーでの練習をこう評した。
「基礎練習はどれだけ自分に厳しくできるかだと思いました。できているかどうかの基準も全部自分次第だと思います。走ることも自分に甘くやったら全然きつくないし、トレーニングも力を抜いてやれば楽なんですけど、どう自分に厳しくできるか。飯田さんも『自分の限界を超えろ』とおっしゃってましたけど、本当にそういうトレーニングだと思いました」
 やらされる練習では大きな成長は期待できない。自分で厳しく設定したハードルを必ず超えるのだという気構えこそが、選手を強くするのだろう。中嶋の指導を仰ぐようになってから、河本はステップで3勝を挙げたという。
 アカデミー生の審査基準を「所作ひとつひとつで真剣さがにじみ出る、磨いたら光りそうだなという子」という中嶋本人は、育成方針をこう語る。
「基礎を基に成長していくのがトミーアカデミー。卒業生の活躍は本人たちの努力だ。彼らがいろんなものを吸収して成長していることをうれしく思う。5年以内に米ツアー優勝という目標を掲げていたが、それを畑岡奈紗が達成してくれた。今後は男子をもっと育てたい」
 巣立っていった卒業生の活躍を見るのが何よりの楽しみのようだ。そして、競技力の向上だけでなく人間力の向上にも力を入れる。
「発足した頃、いじめ問題があった。負けない子、いじめる側にならない子、強くて優しい子というテーマもある。完成には遠いが、自分の経験をある程度は形にして伝えられているかな。常に反省だけど……」
 これからは殿堂入りプレーヤーという新たな肩書が加わる中嶋。自らを超える偉大な選手を育てることができるかが、大きなテーマになっていくのだろう。

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