約1カ月の休養から復帰もグリーン上で涙、レクシー・トンプソンに何があったのか

リフレッシュを理由に約1カ月休養したレクシー・トンプソンだが、復帰後も精神的な不安定さは拭い切れていない 写真・Getty Images
リフレッシュを理由に約1カ月休養したレクシー・トンプソンだが、復帰後も精神的な不安定さは拭い切れていない 写真・Getty Images 【拡大】
 レクシー・トンプソンが今季女子メジャー最終戦のエビアン選手権2日目、18番のグリーン上で涙を流した。予選通過にはパーでホールアウトすることが必要だったのだが、ラフからアプローチをミス、フラストレーションから涙を堪(こら)え切れなかったのだ。精神的な不安定さが露呈して、なんとも痛々しかった。

 トンプソンはメジャー1勝を含むツアー通算9勝、人気も実力も兼ね備えたアメリカンスターだが、今季はここまで未勝利、7月~8月にかけてメジャーの全英リコー女子オープンをはじめ約1カ月戦線を離脱した。

「この1年半はコース上でもコース外でもいろいろなことが起こってしまった。今はメンタルをリチャージするために少しゲームから離れたい」

 トンプソンのいう“いろいろなこと”は、昨年のANAインスピレーションに始まった。メジャー勝利を目前にした最終日、マークしたボールを違う位置に戻した、と前日のプレーについてペナルティが課された。母のジュディさんが乳がんと告知されたり、最愛の祖母を亡くしたりと、コースの外でもショックな出来事が重なったこともあり、ツアー最終戦ではわずか60センチのパットを外して敗れるなど、すっかりプレーも精彩を欠いてしまった。

 今季が開幕しても、トンプソンのプレーに輝きは戻らなかった。飛距離が武器のトンプソンとあって、もともと弱点はパッティングだったが、開幕戦では愛用していたハッピーパターに腕を添えるスタイルに変更していたが、その後、スコッティ・キャメロンにパターを替え、スタイルも通常の形に戻して打つなど試行錯誤。決してうまくいっているとはいえなかった。

「休んだ間、2週間はクラブを握らなかった。友人と旅行に行き、普通の生活を送った」

 と、ツアーに復帰したトンプソンは語ったが、エビアン選手権での涙を見ると、休養でリフレッシュできたようには思えない。

 心配されるのはバーンアウト状態になっているのではないかということ。若くしてスターになってしまった女子選手たちの中には、陥ってしまう者も少なくない。例えばヤニ・ツェンや宮里美香が再び自分を奮い立たせようと現在も努力している。トンプソンも5歳でゴルフを始め、15歳でプロ転向してからずっと走り続けてきた。長い選手人生の中で立ち止まったとき、どうやって再び走り出すかは、スター選手の誰もが経験する悩みといえる。

「私はロボットじゃない。私にはライフが必要」とトンプソン。エビアン選手権での涙を見ると、もう少し時間が必要なのだろう。トンプソン自身のやり方で新たな自分を見つける日がくると信じたい。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2018年10月9日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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