今季メジャー2勝のブルックス・ケプカは、静かで温厚なニューヒーロー

今年もダンロップフェニックスへの参戦が決まったケプカ。温和なニューヒーローが3連覇に挑む 写真・村上航
今年もダンロップフェニックスへの参戦が決まったケプカ。温和なニューヒーローが3連覇に挑む 写真・村上航 【拡大】
 今季の米PGAツアーで最も活躍した選手といえば、全米オープンを連覇、さらに全米プロゴルフ選手権も優勝したブルックス・ケプカだろう。

 しかし、ジョーダン・スピース、リッキー・ファウラーらに比べ、その人となりはなかなか伝わってこない。米国のゴルフ記者に聞いてみると、「彼はゴルフにだけ真っすぐな青年。自分のことを多くは語らないけれど、とてもナイスガイだ」という。

 フロリダ州ウエストパームビーチに生まれたケプカ。大おじのディック・グロートは1960年代にピッツバーグ・パイレーツで活躍した大リーガーだ。グロートは野球だけでなく、プロバスケットボール・NBAのドラフトにもかかったアスリートで、86歳の現在もラジオの解説者として活躍中。父のボブも大学時代は野球選手と、野球一家の中で育ったケプカがゴルフに夢中になったのは10歳の夏。交通事故で鼻を骨折し、激しいスポーツができない夏休みをずっと家の近くのゴルフコースで過ごしたのがきっかけだ。13歳で父に勝つなどめきめきと腕を上げた。ちなみに、弟のチェイスもプロゴルファーで、昨年は米PGAツアーのダブルス戦、チューリヒクラシックでペアを組み5位に入っている。

 フロリダ州立大在学中の2012年、全米オープンに出場した直後にプロ転向。ヨーロピアンツアーの下部ツアーを経て同レギュラーツアーへの出場権を獲得すると、14年トルコ航空オープンで初優勝。

「このころの海外での転戦が僕の精神面を大きく成長させてくれた。ここで学んだプレーが僕のゴルフの基盤となっている」

 多くを語らないケプカの心には、とある信条がある。

 全米プロには母のデニスさんがサプライズで応援に来たのだが、ケプカは勝利を決めると、グリーンサイドに駆け寄ったデニスさんに、「やぁ元気?」と声を掛けた。あまりにも普段どおりの言葉に、優勝の喜びがあふれてこないのかと周囲は不思議がった。

「母はかつて乳がんを宣告された。幸い今も元気だが、とてもショックだった。それからは、人生はとても短い、だからしっかり楽しまないといけないと思うようになったし、人が笑顔になるようなことをしよう。物事を深刻に考えすぎないようにしよう、と生きてきた」

 喜びを表す前に、母へのねぎらいを言葉にしたのだ。

 今年は1月から約3カ月、左手首のケガで戦線を離脱。家で過ごしている間に黒いラブラドールレトリーバーを飼うことにした。

「彼女を家族に迎えて毎日がとても忙しくなった。来てくれて本当によかった」

 ケプカの温和な人柄が伝わるエピソードを、来季の活躍でもっと聞けることを期待している。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2018年10月2日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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