「全米オープンはパーとの戦い」をまたしても読み違えたUSGA

優勝したブルックス・ケプカも3日目は後半に2オーバー。強風に苦戦した 写真・Getty Images
優勝したブルックス・ケプカも3日目は後半に2オーバー。強風に苦戦した 写真・Getty Images 【拡大】
 14年ぶりにシネコックヒルズGCで開催された今年の全米オープンは、主催する全米ゴルフ協会(以下、USGA)の施したコースセッティングに批判が集中した。

 1891年に創設と米国で最も長い歴史を誇るコースの一つは、毎年世界のベストコースのトップテンに数えられている。ニューヨーク州ロングアイランドの東先端に位置するリンクスで、北大西洋からの強風が吹けば難易度は格段に高まる。

「全米オープンはパーとの戦い」というのがUSGAの信条。優勝スコアはイーブンパーが理想だ。ところが昨年の16アンダーをはじめ、最近はビッグスコアが記録されていることもあり、それはそれで批判を集めていた。コースセッティングを厳しくし、優勝スコアを抑えようと考えるのも無理はない。

 問題は3日目だった。初日、2日目にスティンプメーターで11フィート6インチだったグリーンのスピードを、わずかに11フィート9インチまで上げた。そしてグリーン上の最も厳しい位置にカップを切った。これがUSGAの選択だった。

 しかし朝から吹き始めた風は時間を追うごとに強くなり、グリーンは乾いてどんどん硬くなった。午後の遅い時間のスタートとなった成績上位陣がことごとくスコアを崩す結果に、

「一線を越えたセッティングで素晴らしいコースを台なしにしてしまった」(ザック・ジョンソン)、「ひどいグリーンでUSGAにがっかりした」(イアン・ポールター)と、多くの選手が愚痴をこぼした。フィル・ミケルソンが「カップを行ったり来たりするのが嫌だった」とグリーン上でまだ動いているボールを打って大問題に発展し、悲願のメジャー初制覇を狙った松山英樹も、まさかの4パットが2回。とにかく考えられないグリーンのスピードだった。

 この日、全組がプレーを終えた後、異例の会見を開いたUSGAは、

「想定以上に風が強まった結果、グリーンの速さが一線を越えてしまった」

 と過ちを認めたが、前回このコースで全米オープンが開催された2004年も、決勝ラウンドで止まらないグリーンに非難が集まっている。最終日には7番ホールで2組ごとにプレーを止めて水をまくなどして、アンフェアだと叩かれたのだが、USGAは同じ過ちを繰り返したことになる。

 最終日は、初日、2日目とほぼ同じ速さに戻されたが、

「天候に左右されるのはゴルフとして当然のこと。しかし全米オープンなのだから、いいショットが結果となって表れる大会であるべき」(ブラント・スネデカー)

 というのが多くの選手の声だろう。来年はペブルビーチGLと、またしてもリンクスでの開催。この教訓が生かされることを願う。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2018年7月10日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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