短期集中連載「素顔の宮里藍」15

5月26日、今シーズン限りでの引退を発表した宮里藍。その後、米女子ツアーに復帰し、いつものように「全力で」残り試合に臨んでいる。過去にパーゴルフPLUSで“今週の藍ちゃん”というコーナーを持ち、宮里藍と懇意にしているジャーナリストの武川玲子が、フィナーレまでの期間、“藍ちゃん”の知られざる素顔を公開していく。

15 家族と故郷

先日、宮里藍の生まれ故郷、東村(沖縄県)を訪ねる機会があった。宮里から何度も聞いていたその町は、目の前に美しい海が広がっていた。自宅から海まではPWでも届くような距離で、「眠っていると波の音も聞こえる」という。

その地に今年3月、「東村文化・スポーツ記念館」が完成した。ここには東村出身のスポーツ選手や文化人の功績が展示されているが、とりわけ宮里三兄弟の幼少のころの動画やトロフィー、当時使っていたパターなど思い出がたくさん並んでいた。

父の優氏がスイングコーチを務め、3人がプロへと育っただけではなく、この小さな町から世界へと羽ばたいたのだ。しかし、宮里一家にとっての“ゴルフ”は、当初、家族で楽しむための一つのツールだったということがよく分かった。

決して「プロになって世界を目指す」ことを目標にゴルフを始めたわけではない。家族でボールを追いかけて笑い合う、そんな時間がとても楽しかったのだ。そこから家族の絆が生まれ、強い絆の宮里一家が完成した。聖志、優作と二人の兄はそれぞれ自分の家族を築いたが、それでも何かあるたびに東村の宮里家に集まる。

宮里藍に一度、自分自身の家族像について聞いたことがある。今から3年ほど前、ちょうど30歳を迎える年のシーズン始めだった。

「以前、具体的にいうとは24、25歳までは、自分の場合、ジュリ(・インクスター)のようにゴルフと家庭を両立できる選手じゃないと思っていた。どちらかというとロレーナ(・オチョア)のようなタイプで、やりきったと思ったら(ゴルフ)やめると思っていた。でも、自分が30歳を目の前にしてみると、こればっかりは分からないなと思いました。私はどこかで完璧主義なので、あまりにも理想をつくってしまうと自分を追い込んでしまう。最近は、それを特に感じる。「結婚して子供もできて、そうなったらいいな」とは思っているんですけど、あとは自分がそのときそう思うフィーリングで決めようと思う」

と気持ちは揺れ動いていた。

あれから3年。ゴルフに一生懸命向き合いつつ、少しずつだが将来像も考えていたのだろう。

「私の場合、いつも結婚のイメージが30歳を過ぎてからだった。20代での結婚は今まで考えたことがなかった。あまりにも米国でいっぱいいっぱいだった。「じゃあ、32歳で結婚して……」となったとき、もうあんまり先がないなと思ってしまう(笑)。元気なうちに子供も産みたい。現実的にいろいろ考えると、もうここ5年くらいですかね。そういうイメージはありますけど、あとは流れに身を任せています」

そう話していた女性は、32歳になる直前に引退を発表、選手としての人生をやり終えた。

「それにしても藍ちゃん、こんなにきれいな海とともに育ってきたんだね」

文/武川玲子
素晴らしい自然と家族の愛を受けて宮里藍は成長を遂げてきた 写真・村上航
素晴らしい自然と家族の愛を受けて宮里藍は成長を遂げてきた 写真・村上航 【拡大】

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