短期集中連載「素顔の宮里藍」14

5月26日、今シーズン限りでの引退を発表した宮里藍。その後、米女子ツアーに復帰し、いつものように「全力で」残り試合に臨んでいる。過去にパーゴルフPLUSで“今週の藍ちゃん”というコーナーを持ち、宮里藍と懇意にしているジャーナリストの武川玲子が、フィナーレまでの期間、“藍ちゃん”の知られざる素顔を公開していく。

14 もう一つの立場

あまり知られていないが、今回は宮里藍が12年過ごした米LPGAツアーで務めた、二つの“要職”についてお話ししよう。

最初はコースセッティングのコミッティーだった。その名のとおりツアー競技が開催されるコースの設定、つまり距離やラフの長さやグリーンの硬さ、速さ、ピンの位置など、“コース設定”についてツアーと選手が一緒になって考える役員会のことだ。ちょうどツアーメンバーになって10年を迎えるころ、2014年の終盤に宮里はこのコミッティーに名を連ねた。

「日本人として選ばれたことがすごくうれしいです。これからの私のゴルフ人生にすごく、大きな役割になりそうだし、きっとプレーにも役に立つと思う」

と当時も意気揚々と話してくれた。

折しも米女子ツアーではパワーゴルフが中心になり、コース設定が大きく変わりつつある時代だった。どんどんコースの距離が伸び、いわゆるロングヒッターが有利な設定になりつつあるときだったが、宮里は「より多くの選手にフェア(公平)になるセッティングにしたい」と心を砕いていた。

もちろん飛ばすことも一つの能力だが、それ以外のショットの技術、寄せの小技、パッティングといったゴルフすべてのテストになるコースがいい、というのが宮里の信条だった。

最後のシーズン、2017年の平均飛距離は240.86ヤードでツアー145位だった宮里だが、その中で9勝を挙げた選手の意見はツアーにとって貴重だったに違いない。

もう一つ、宮里が就いたのは“プレーヤー・ディレクター”だ。これはツアー選手の中から6人が選出され、もっと深くツアーの運営に関わり合っていくものだ。

年に4回、かなり大きなミーティングがあり、ここでツアーの経営や金銭的なことも含め、大きな判断を迫られる重要な役目を担うことになる。この役職に就任したのは2015年の秋。その2年程前から打診されていたが、「ゴルフのことだったら英語でも対応できるけれど、ツアーのことになると……」と固辞していたという。

ちなみにアジアからの選手としては朴セリ(韓国)に続いて二人目。宮里が入った当時は、ほかにモーガン・プレッセル(米国)、サラ・ジェン・スミス(オーストラリア)、キャサリン・ハル(オーストラリア)らがいた。昨今は韓国勢を始めとしてアジア勢がLPGAツアーを席巻する中、アジア人にもっとツアーに興味をもってもらいたいという狙いがあったのだろう。英語の壁を感じていた宮里だったが意を決し手を挙げた。

ミーティングはマイク・ワン会長を始めツアーの経理など中枢の役員が参加、プレーヤー・ディレクターを含めて15人ほどが集まり、延々と議題が取り上げられた。

「いまさらながらちょっと後悔しています(笑)。とにかく英語が難しくて、みんなネイティブな英語でどんどんと話が進んでいく。マネージャーも入ることはできないし、私にはなかなかきついです。きっと慣れてくると発言できる機会もあると思うけど、今は理解するのにいっぱいいっぱいです」

そう話した宮里だったが、少しずつ自分のハードルを上げて大きく成長していくのがなんともうまい女性だなと実感した。決めたら迷わない。だから彼女はいつだって凛とした姿で生きていられるのだ。

この要職についてからちょうど2年後、宮里は現役を引退した。「いい経験になる」といったツアーで務めたことが、これからどんなふうに花を咲かせるのか、とても楽しみにしている。

文/武川玲子
別の立場でも米LPGAツアーを引っ張ってきた 写真・村上航
別の立場でも米LPGAツアーを引っ張ってきた 写真・村上航 【拡大】

関連記事一覧

ツアー最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

ツアー・トーナメント

フォトギャラリー

トーナメントプロ公式サイト・ブログ