短期集中連載「素顔の宮里藍」12

5月26日、今シーズン限りでの引退を発表した宮里藍。その後、米女子ツアーに復帰し、いつものように「全力で」残り試合に臨んでいる。過去にパーゴルフPLUSで“今週の藍ちゃん”というコーナーを持ち、宮里藍と懇意にしているジャーナリストの武川玲子が、フィナーレまでの期間、“藍ちゃん”の知られざる素顔を公開していく。

12 磨いたもの

宮里藍の黄金期の続きを振り返ろう。年間5勝を挙げ、世界ランキング1位にもついた2010年が、キャリアの中で最高の1年だったのは間違いない。特に、ツアー史
上44年ぶりという開幕戦からの2連勝(タイでのホンダLPGA・タイランドと、シンガポールでのHSBC女子チャンピオンズ”)は、今も大きな記録として刻まれている。

この絶好調はドライバー不振からの復活と思われがちだが、実はこの頃、彼女のゴルフに大きな“変革”が起こっていた。転換期といっていいのかもしれない。もともと正確なショットが武器だったが、2009~2010年のオフを機会に、“小技”の宮里藍が誕生。その小技が見事に決まって開幕からの連勝につながったのだ。

“小技”を磨くことに目覚めたのは、「(申)ジエのプレーを見て、やっぱり小技だなって思った」という理由だった。

「ジエは飛ばないじゃないですか。それなのに世界ランキング1位なれた。なぜだろう?って思ったらやっぱり小技なんですよね。私はバーディ数が多いのにボギーの数もめちゃくちゃ多い。つまり、グリーンを外したあと、グリーン周りからの取りこぼしが多いんです。これまで3メートルに寄せていたのを、これからは1.5メートルに寄せようとオフは練習をかなりしました。今までなんでやらなかったのか不思議なくらいなんですけど、たぶん、ショットのテンポを取り戻すことに一生懸命だった。でも、今年は自分の思った練習が100パーセントできたんです」

宮里は2007年のオフ以降、毎年1~2月にアリゾナ州でキャンプを張っている。メンタルコーチを務めるビジョン54の拠点があるフェニックス郊外だ。

広いドライビングレンジのある恵まれた環境下で、1週間~10日を2クール行うのが彼女のルーティーン。毎年沖縄からコーチで父の優氏が加わる期間があるし、年によっては次兄の優作や上田桃子が参加したこともある。メディアは完璧にシャットアウト、オフのリラックスした気持ちと、徹底的にトレーニングや練習に集中できる時間を作っていた。

この場所が気に入った彼女は、米国での第2の拠点となるオフ用の住まいも構えた。自宅から練習場までわずか数十ヤードというほど目の前で、ボールが打てる場所があるという。オフのキャンプの間はこの住まいで料理やトレーニングをしたりと、ツアー転戦中にはできないことを楽しんでた。

そして、2010年のオフには“ビジョン54”のドリルから、実際の試合の状況を作って練習するイメージトレーニングを続けていた。それが2連勝したタイとシンガポールのコースだった。

「タイの18番のグリーン奥からのアプローチ、というように具体的な状況を想定して練習していました。それが見事にうまくいった」

「試合に出ている選手の技術の差はほとんどないと思う。みんなそれぞれ自分のスタイルがあって、その中で自信を持っている人が上位にいけるのだと思う」

大会後、こう明かした宮里。この開幕2連勝は大きな自信を与え、結果的に2010年を全力で駆け抜けることになった。

文/武川玲子
「ゴルフはパワーだけではない」と持ち味を作ろうとした宮里藍 写真・村上航
「ゴルフはパワーだけではない」と持ち味を作ろうとした宮里藍 写真・村上航 【拡大】

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