“勝てるとは一度も思えなかった”石川遼の再挑戦が始まる

ウェブドットコムツアー最終戦では2日目に65、最終日に66の好スコアで回り、状態は上向いていたが… 写真・Getty Images
ウェブドットコムツアー最終戦では2日目に65、最終日に66の好スコアで回り、状態は上向いていたが… 写真・Getty Images 【拡大】
「1年目からずっと息苦しかった。自分の力が信じられなかったし、ゴルフはそれが出るものだなと思った」

 ウェブドットコムツアーの入れ替え戦を戦い終えると、石川遼はそう言葉を絞り出した。来季のツアーカード獲得には及ばず、米PGAツアーにひとまず区切りを打つことになった。

 石川の米PGAツアーへの挑戦は、2012年のプエルトリコオープンで2位となりテンポラリーメンバーの資格を得たことをきっかけに始まった。翌年の出場権を獲得すると、主戦場を米国に移した。

 13-14年シーズンにはトップテンフィニッシュが3回、プレーオフ2戦目まで出場と、希望に満ちた一年を送ったように思えるが、石川は苦しさを感じていたのだという。

「うまくいくイメージが持てなかった。米PGAツアーは、選手もコースもとても魅力的でモチベーションを上げてくれる。本当はこういうところでやれる機会があるということを生かさなくちゃいけなかったけど、いい方向に生かせなかった」

 その後は、スイング改造からくる腰痛による不振に悩むことになったが、苦しさの根幹はそれだけではなかった。

「米PGAツアーにいる間、優勝は目指せなかった。それは自分がいる意義を自分で否定しているのと同じ。“勝つためにいる”自分がいて、“勝てないんじゃないか”と思う自分もいる。自分が勝てるレベルにあると心の底から一度も思えなかったことが、自分の中の原因」

 昨年、公傷から復帰してからは、筋力をつけて無理のないスイングで戦ってきた。

「復帰したときから体に不安はないし、体重も3キロ増えた。飛距離も伸びたし、ヘッドスピードも上がった」

 と、入れ替え戦4試合では好スコアも出るようになり、手応えをつかんでいた。そう考えると米PGAツアーで戦えないことが実に惜しいが、メンタルの問題だと感じているのであれば、リセットするのもいいだろう。

 今年は日本ツアーに出場し、年明けからはウェブドットコムツアーや、日本とアジアンツアーの共催試合への出場を視野に入れる。

「自分のゴルフ人生と考えれば、どこでプレーしていても目指すものは同じ。世界中どこでも試合があるというのは本当に幸せ。

 これから先が勝負。じっくり自分と向き合いたい。過去は過去として、未来に生かしたい。次に米PGAツアーでプレーするときは“勝てる”と思いたい。誰かに“勝てるよ”っていわれても自分で思えなきゃ。それが最大で最後の砦(とりで)。誰も勝てるとはいってくれなくても、心の底から勝てるっていう自信があればそれで十分」

 将来必ずメジャーに勝つ―その目標をかなえるため、石川の再挑戦が始まる。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2017年10月31日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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