短期集中連載「素顔の宮里藍」2

5月26日、今シーズン限りでの引退を発表した宮里藍。その後、米女子ツアーに復帰し、いつものように「全力で」残り試合に臨んでいる。過去にパーゴルフPLUSで“今週の藍ちゃん”というコーナーを持ち、宮里藍と懇意にしているジャーナリストの武川玲子が、フィナーレまでの期間、“藍ちゃん”の知られざる素顔を公開していく。

2 ちょっぴりキングス・イングリッシュ

米ツアーでの12年間、ゴルフ以外で最も大きく変化したのは“英語力”だ。

今では流ちょうにインタビューから日常会話のすべてを一人でこなすが、渡米前から備わっていたわけではない。当初は通訳に頼らざるを得ない日々だった。

「父にいわれたんです。藍のゴルフの成績は英語力に比例するって……」

彼女自身も「英語を話せるようになりたい」という強い気持ちがあり、すぐさま自分で英会話の習得を開始。当時はちょうど韓国勢が増えてきたたこともあり、ツアーからスカイプで受けられる英会話レッスンが提供されていたころだったのも幸いした。

ルーキーだった宮里だが、慣れないツアー転戦の中で必死の努力を続けた。例えば悪天候で試合が中断している間など、わずかな時間を見つけては勉強。本人のモチベーションが高いだけにストレスではないにせよ、これでプレーにも集中できるのだから、相当な精神力の持ち主だ。

ツアーで友人を作ることにも積極的だった。ロレーナ・オチョア(メキシコ)やジェニファー・ロザレス(フィリピン)から食事の誘いを受けると、喜んで出かけた。その際に思ったことを伝えられるようにと“辞書”を持参すると、「So Cute! (かわいー!)と笑われました」と教えてくれた。

みるみる間に上達していった英語力。12年間、相棒としてキャディを務めたミック(・シーボーン)の存在も大きかっただろう。プレー中の会話はもちろん英語。2010年、5勝を挙げて世界ランキング1位についたシーズンが終わったあと、ミックにインタビューをしたことがある。

「アイの英語力は驚くほど高くなかった。おかげでコース上でも二人でたくさんの話をし、意見を交換できるようになった。彼女が強くなった理由の一つは間違いなく、言葉の壁がなくなったことだよ」

ちなみにミックは英国人。同じ英語でも米国人とはアクセントや表現が微妙に違う。宮里のトークにはときどき英国のキングス・イングリッシュが表れるのもおもしろい。

たかが英語、されど英語。実際に米国でツアーを転戦するには、やっぱり言葉の力は大きい。プロアマでもたくさんの外国人とプレーし、何より生活していかなければならないのだ。同じツアーで戦う仲間たちと同じ時間を共有できれば、毎日の生活も実に楽しめる。

「言葉の壁」を克服して米国になじんだ宮里だが、それでも最後まで苦手だったことがある。それは“優勝スピーチ”だ。

「実はほんとに毎回緊張しているんです」

米ツアーで9勝を挙げ、そのたびに「英語」でスピーチを行ってきた。あと数試合残されている引退までの間に、もう一度、英語でのスピーチを聞きたい。

文/武川玲子
残念ながら先週の全英リコー女子オープンは予選落ちだったが、ツアー仲間としっかり「英語」でコミュニケーションをとる姿が印象的だった 写真・村上航
残念ながら先週の全英リコー女子オープンは予選落ちだったが、ツアー仲間としっかり「英語」でコミュニケーションをとる姿が印象的だった 写真・村上航 【拡大】

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