名コース“ブルーモンスター”での試合が消滅 D・トランプ氏とツアーはどうつき合うのか

池が多く絡む“ブルーモンスター”。難コースだが選手には人気が高かった(写真・村上航)
池が多く絡む“ブルーモンスター”。難コースだが選手には人気が高かった(写真・村上航) 【拡大】
 ダスティン・ジョンソンの勝利で幕を閉じたWGC-メキシコ選手権は、昨年まで米国フロリダ州マイアミのトランプナショナルドラルで開催されていた大会だ。

 今年からメキシコに舞台を移した理由は、米PGAツアーが米大統領のドナルド・トランプ氏と距離を取っているからとされ、トランプ氏はこの対応を「バカげた選択だ」と真っ向から批判している。

 事の発端は大統領候補だった当時、トランプ氏がメキシコ移民やイスラム教徒への差別的な発言をしたこと。世界中のトランプ氏所有のコースでは、メジャーも含め多くの大会が開催されているが「差別のあるコースで試合は開催しない」というツアーの姿勢から、突如として開催が問題となった。

 今年1月にツアーのコミッショナーに就任したジェイ・モナハン氏は、

「舞台が変わったのは昨年まで大会スポンサーだったキャデラックとの契約が終了し、それに代わる大会スポンサーが見つからなかったから」

 と説明したが、メキシコのコングロマリット(複合企業)の会社が名乗りを上げ、首都メキシコシティーでの開催を条件に、7年契約にこぎ着けた。

「決してトランプ氏のコースを避けたわけではない」とツアーはいうが、トランプ氏のコースだという理由でスポンサーがつかなかったというのが正直なところ。

「メキシコ国境に壁を作る」というトランプ氏のコースを離れ、メキシコ選手権を開催することになるとは、なんとも皮肉な結果だ。

 トランプナショナルドラルは2012年に氏が買収したが、もともと“ブルーモンスター”と呼ばれるフロリダ州屈指の難コースの一つで、1962年からドラルオープンが開催されてきた。選手たちからは長い歴史を持つコースでの試合が消滅したことを惜しむ声がやまない。それを受けて「ドラルを舞台にした新しい大会の開催を模索している」とモナハン氏はいうが、実現は簡単ではなさそうだ。

 トランプ氏はフロリダ州の所有コースで12月にはタイガー・ウッズとプレー、2月の日本の首相・安倍晋三氏との会談にはアーニー・エルスを同伴、先日は肋骨(ろっこつ)の疲労骨折から復帰直前のロリー・マキロイともプレーと、選手たちとは良好な関係を構築しているようだ。

 現在のところ、トランプ氏のコースから撤退したのは米PGAツアーだけである。USGAは今年の全米女子オープンを、PGA・オブ・アメリカは全米シニアプロ選手権を、「コースでの差別はなかった」として、それぞれ開催する予定だ。

 就任以来、毎日のように世界中で話題となっているトランプ大統領。今後、果たしてツアーはどう向き合うのだろうか。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2017年3月28日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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