頂点に立った19歳 松山英樹さん ツアー史上3人目のアマチュア優勝


頂点に立った19歳
松山英樹さん
ツアー史上3人目のアマチュア優勝

 石川遼と同学年、東北福祉大学2年生の松山英樹さん。(当時)
三井住友VISA太平洋マスターズの優勝には、技術はもちろん、強いメンタルがあった。
恩師、阿部靖彦監督の言葉とともに、優勝の軌跡をひもとく。

最終ホール、第2打の度胸

 2位に2打差をつけていた。517ヤード、パー5の18番は、難易度18番目。一番やさしい。しかし、松山英樹さんはなかなかティショットを打てなかった。

 2回素振りをした後、首をかしげた。イメージが出ない。

 後方からボールを見て、少し大きめの音を出してせき払い。喉に違和感があったわけでない。雑念を振り払った後に放ったショットは、秋晴れの空に向かっていった。ギャラリーの歓声が後押しているかのように、ぐんぐんと球は伸びていく。

「16、17番で変なショットが出ていたからです。でも、18番は風がフォロー。思いっきり振ればいいと、最後はマン振りしました」

 ボールは右セミラフへ。ピンまで177ヤードの地点に止まった。先に2位の谷口徹が打った第2打は、ピン下2.5メートルについている。谷口がイーグル、松山さんがパーなら11アンダーで並ぶ。

「それは考えませんでした。すごいなぁと思いながら、自分は自然とピンを狙っていました。考えている余裕がなかったわけではないですけどね。自然とです」
 
 7番アイアンで打てばグリーンをオーバーする。8番アイアンでしっかり打つと判断。セカンド地点、そしてグリーン周りに陣取ったギャラリーの抑えられない興奮とは180度違う冷静さだった。

 判断どおりしっかり打ち抜いたボールは、いつまでも落ちてこない。ボールが滞空しているときは、トンボの羽音が聞こえるくらい静寂だった。そして、ピン右30センチに着地した瞬間、すべてのギャラリーの歓声が松山さんの体を通り抜ける。ボールの落ちどころを見て、同組の谷口と鈴木亨が、二人そろってグリーンに歩みはじめた後ろ姿からは、実力を認める、あきれた笑顔が見えるようだった。

「谷口さんからは『早くプロの世界に来い』といわれました。『はい』と答えましたが、大学卒業までプロ転向をしないという気持ちは揺らいでいません。アマチュア、そして大学ゴルフ部の一員としてゴルフをしているからこその優勝だと考えています。これからの目標ですか? 予選通過ですね。予選落ちしたら、それこそ谷口さんに何をいわれるか分かりません」

 被災地への思いも忘れていない。

「大学は仙台ですが、自分が一生懸命頑張っている姿を見せることができれば、勇気や元気をつけてもらえるだろうと思っています。だからこそ、目の前の1打に集中しています」

 マスターズローアマ。アジアアマチュアゴルフ選手権2連覇。そして、3人目のツアーアマチュア優勝者。日本のゴルフファンをワクワクさせる新たな選手が誕生した。

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