セーフウエークラシック
【コラム】かつての女王ヤニ・ツェン、久々の優勝争いに復活の兆し!?
最終日こそ崩れたが、少しずつ自信を取り戻しつつあるヤニ・ツェン 写真・Getty Images
セーフウエークラシック(8月29日~9月1日、米国オレゴン州・コロンビアエッジウォーターCC、パー72)はスーザン・ペテルセン(ノルウェー)が今季2勝目を挙げて幕を閉じた。
でもペテルセンが勝った、というよりはヤニ・ツェン(台湾)が負けた、というほうが衝撃だった。何がいけないのか? ツェンは大きなスランプに陥っている。
3日目に63をマークしたツェンは、通算18アンダーで2位に3打差をつけて首位に立った。しかし、最終日はまるで別人。出だしの2番パー3でダブルボギーにすると3番、4番と連続ボギー。ショットも乱れショートパットも決まらず、と78の大崩れで9位に終わった。
現在24歳のツェンは、最年少でメジャー5勝を挙げるなど約2年間世界ランキング1位に君臨。男子並の飛距離を武器に、圧倒的な強さを見せたツェンの女王時代が続くと思われた。だが、今年の3月にステーシー・ルイス(米国)にその座を奪われると、あっという間に転落、今や16位まで後退した。
最後に挙げた勝利は昨年3月の起亜クラシック。以降37試合も勝利がない。
要因はショットの乱れ。飛距離が出るだけに、曲がるとやっかいだ。
「毎試合勝たなきゃ、というプレッシャーもあった。メンタルも技術も両方が悪い方向へと影響しあった」
というツェン。あの人なつっこい笑顔が消えて行くのはなんとも寂しかった。
予選2日を同組で回った宮里藍は、
「ティショットはかなり安定していた。これからが楽しみ」
とツェンの復活に期待した。
8月に2週間、台湾に戻っていたというツェンは、ゴルフを始めた頃からのコーチにスイングチェックを依頼。少しずつ自信を取り戻しつつあるのだという。
「精神的にもすごく成長したと思う。しばらくゴルフを楽しむことができなかったけれど、今はすべてのことに感謝している」
と少し大人びた笑みを見せた。
今回は最終日に崩れたが、久しぶりの優勝争いは復活の兆しであればと願う。
文・武川玲子