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マスターズも制するか!? 米ツアーを席巻する“デシャンボー現象”

今年のアーノルド・パーマー招待に優勝し、雄たけびを上げるデシャンボー(写真・Getty Images)
今年のアーノルド・パーマー招待に優勝し、雄たけびを上げるデシャンボー(写真・Getty Images)
今週開幕するマスターズ。優勝候補の一人に挙げられているのがブライソン・デシャンボーだ。昨年全米オープンに優勝するまでの彼はどちらかというと“変わり者”という扱いで、米PGAツアーの主役とはいえなかった。しかし、コロナ禍の中断を経て獲得したその圧倒的な飛距離で見せるスペクタクルなゴルフはファンの心をわしづかみにし、今やゴルフ界のセンターステージに躍り出た。米ツアーを席巻する“デシャンボー現象”のリポートを週刊パーゴルフ本誌4月13日号より転載する。

取材/文・武川玲子(在米ゴルフジャーナリスト) 写真・Getty Images

世界がデシャンボーを中心に回り始めた!

最近、米ゴルフメディアの中で耳にするワードに“BD”、“AD”というものがある。これはバースデーでも紀元前でもなく、Before DeChambeau(デシャンボー以前)とAfter DeChambeau(デシャンボー以後)の略。つまりデシャンボーの出現によって大きくゴルフ界が変わったという意味だ。あたかも“BC”(Before Christ=紀元前)をもじって、彼を救世主になぞらえるような米ツアーの“デシャンボー現象”をリポートする。

デシャンボーが怪物ぞろいの米PGAツアーの中でも特別な存在へと変貌を遂げたのは、新型コロナウイルス感染拡大から中断されていたツアーが再開された昨年6月のことだ。肉体改造で体重は約20キロも増量。胸も腕もふた回り以上も大きくなって登場したデシャンボーは、ツアー屈指のロングヒッターとなり話題を席巻した。

2016年にプロ転向したデシャンボーは自称「ゴルフの科学者」を名乗り、すべてのアイアンの長さを37.5インチに統一するなど独自の理論を展開。しかし、スロープレーやラウンド中にコンパスを使用するなど数多くの論争を巻き起こしたこともある。コンパスは最終的にはルール違反となったが、一風変わった、ある意味で“異端児”ともとらえられた存在だった。

しかし、今回のデシャンボーの理論は徹底的に“飛距離”にこだわったものだった。アメフトのラインマン選手のような体を手に入れ、大幅にパワーアップ。ボールスピード(初速)を上げることを徹底して目指した。ツアー再開初戦となったチャールズ・シュワブチャレンジでは、ボールスピードが時速195マイル(87.17m/s)を記録。ダスティン・ジョンソンやバッバ・ワトソンらを大きく上回り注目を集めた。

デシャンボーはツアー再開から3戦連続でトップ10入りし、4戦目となった7月のロケットモーゲージ・クラシックでついにシーズン初勝利。ツアー通算6勝目を挙げたが、それでも多くの選手は「飛距離を伸ばすために体重を10キロ増やすか?」と聞かれると、「ノー」と答えていたから、まだ飛距離だけでは制圧できないと考えられていたのかもしれない。

そんな空気が一変したのは昨年9月、ウイングドフットGCで開催された全米オープンを制したときだろう。ニューヨーク郊外の名門クラブは超難コースとして知られ、7477ヤード・パー72に深いラフでの戦いだった。多くのトッププロが苦戦を強いられる中、デシャンボーだけが4日間通してアンダーパーを記録したのだ。最終日は67、通算6アンダーは2位のマシュー・ウルフに6打差をつける圧勝だった。

「これはゴルフの革命だ。僕の理論がどれくらい正しいか、証明できたことがとてもうれしい」と、デシャンボーは自身の勝利に大きく胸を張った。このデシャンボーの全米オープン制覇こそが新しい時代の幕開けだった。ここから多くの“デシャンボー現象”を目にすることになる。

(次ページに続く)

昨年の全米オープンを制した時のデシャンボー。この時を境に明らかに周囲の見る目が変化した(写真・Getty Images)
昨年の全米オープンを制した時のデシャンボー。この時を境に明らかに周囲の見る目が変化した(写真・Getty Images) 【拡大】

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