ザ・プレーヤーズ選手権

米国男子

「ロゴ無しウェア」のJ・トーマスが逆転優勝できたワケ【舩越園子コラム】

優勝が決まり様々な思いがジャスティン・トーマスの頭をよぎった ザ・プレーヤーズ選手権(2021)(最終日) 写真・GettyImages
優勝が決まり様々な思いがジャスティン・トーマスの頭をよぎった ザ・プレーヤーズ選手権(2021)(最終日) 写真・GettyImages

リーダーズボード

順位 選手名 スコア 合計
1 ジャスティン・トーマス -4 -14
2 リー・ウェストウッド E -13
3T ブライソン・デシャンボー -1 -12
3T ブライアン ハーマン -3 -12
5T ポール・ケイシー -2 -11
5T テイラー グーチ -5 -11
7 コリー コナーズ -6 -10
8 シェーン・ローリー -4 -9
9T ジョン・ラーム +1 -8
9T セルヒオ・ガルシア E -8
ザ・プレーヤーズ選手権3日目を終えたとき、首位に立っていたのは47歳の英国人、リー・ウェストウッド。2打差の2位につけていたのは27歳の米国人、ブライソン・デシャンボーだった。

2人がともに最終日を最終組で回る優勝争いは前週のアーノルド・パーマー招待でも目にした光景で、そのときはデシャンボーが勝利したが、果たして今週はどんな優勝争いになり、誰が勝つのか。ゴルフファンにとっては実にエキサイティングな展開だったが、まるでデジャブのようなその状況に肝心の2人も少々興奮しすぎてしまったのかもしれない。

ウェストウッドは円熟味の増した顔をヤングプレーヤーのように輝かせながら「ブライソンと戦うのは楽しい。明日はリマッチ(再マッチ)だ」と、デシャンボーとの一騎打ちを心待ちにしていた。

「明日は信じられないほどのグッド・バトルになる」と、デシャンボーもウェストウッドとの一騎打ちに闘志を燃やしていた。

ウェストウッドは「惜敗の男」と呼ばれて久しい。欧州ツアー25勝、米ツアー2勝、世界主要ツアーで通算43勝を誇りながら、メジャー4大会や“第5のメジャー”プレーヤーズ選手権ではどうしても勝てず、過去のこの5大会ではトップ10入りが23回もありながら優勝は一度もない。「あした優勝できれば、僕にとってはキャリア最大のタイトルになる」。

先週、米ツアー通算8勝目を挙げたばかりのデシャンボーも「ずっと欲しかったタイトルを取る絶好のチャンスだ」。

2人とも、相手を倒そうと意欲を燃やし、勝利への渇望を膨らませていた。しかし、難コースのTPCソーグラスで迎えた最終日は、そうした意欲や渇望がセルフ・プレッシャーとなり、煩悩となってしまったからこそ、彼らのゴルフはメンタル面から乱れていったのだと私は思う。

ウェストウッドは3日目までは通算44ホールもノーボギーでプレーしていたというのに、最終日は早々に2番でボギーを喫し、4番では池に落として2つ目のボギー。デシャンボーも4番で池につかまり、さらにミスを重ねてダブルボギー。そこから先は、一進一退はあったものの、2人とも終始、苦しい表情で苦しいゴルフを強いられ、そして敗れた。

そんな2人を抑えて3打差からの逆転優勝を遂げたのは27歳の米国人、ジャスティン・トーマスだった。

3日目の夜、トーマスが見ていたものは、先を走る2人でも他選手でもなく、コースと大自然と自分自身だった。

「グリーンはまだソフトだけど、最終日は乾いて硬くなるだろう。風ももっと吹くだろうし、緊張もするだろう」

その言葉を噛み締めるように最終日のトーマスは淡々とプレーしていた。

「7番のパットがとてもいい感触だった。同じ感じで10番、11番といいパットができた。しっかりボールをコントロールしていこう、とにかく我慢だと自分に言い聞かせた」

自身のプレーを自身で咀嚼(そしゃく)しながら着実に歩を進めた結果、見事な逆転優勝という形で結実。トーマスは相手との戦いではなく、コースとの戦い、自然との戦い、自分との戦いに打ち勝ったのだ。

今年の初戦では思わず口にした言葉が差別的発言と批判され、ラルフローレンからスポンサー契約を解消された。胸にロゴマークが無いウエアを着てプレーしてきたこの2カ月半、「人間として成長したい」と語ったトーマスは、その言葉通り、以前より謙虚になったのかもしれない。

2月6日には最愛の祖父・ポールが他界し、23日には“親友”タイガー・ウッズの交通事故の報を耳にして涙を流したが、今ではそれを受け止めている。「今年はいろんなことが起こっているけど、それも人生の一部だ」。

72ホール目の18番。トーマスのティショットはバウンドの仕方次第では池に落ちてもおかしくはなかったが、ラッキー・キックでフェアウエイにとどまり、彼の頬が思わず緩んだ。それは、どんなことも受け入れられるようになったトーマスに今年初めて訪れたラック(幸運)だった。

「グランパ(祖父)が天国から見ていてくれた証です」

嗚咽をこらえながら、なんとかそう語ったトーマスは、以前より優しく強く大きくなったのではないだろうか。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

記事提供:ALBA.Net(GGMグループ)

ALBA.Net関連記事
・2週連続2位の47歳、L・ウェストウッド 「20代の素晴らしい選手たちとの優勝争いは楽しい」
・デシャンボー、UTでまさかの143ヤードのティショット… さらに4番アイアンにヒビでダブルボギー

●アマゾン




●楽天

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

週刊パーゴルフ 2021年 3/23号 [雑誌]
価格:459円(税込、送料無料) (2021/3/9時点)


このラウンドのニュース

このトーナメントのニュース

関連ニュース

関連フォトギャラリー

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング