8月最終週のニトリレディスから伊藤園レディスまでの12試合で、予選落ちが8回、棄権が1回。そして伊藤園レディス翌週のエリエールレディスオープンで優勝。予選落ちを繰り返した中で、振り切ることの大事さに気づいた
【拡大】
スイング解析器によると勝のスイングは、インサイドから下りてきたヘッドが少しだけアウトサイドに抜けていく軌道で、ボールはフェード回転で真っすぐに飛んでいく。インサイドアウト軌道でしっかり振れていないと右へ押し出すミスが出る。それを嫌がれば、引っかけだ。
「体の回転を止めず、振り抜きます。腕の振りは考えていません」
勝利に無欲、スイングはシンプル。それが勝の今の強さにつながった。しっかり振るのは、パッティングンも同様だった。
芝目のきついコーライグリーンで躊躇しながらストロークすれば、ボールの転がりは必ず芝目に負ける。一度芝目に負けるストロークをすれば、迷いが生じる。
「構えたらスグに打ちます。時間をかけていると、打ち切れず調子を崩していくんです」
予選落ちを繰り返していたころは、打ち切れていなかった。そしてアドレス時に右肩が前に出てしまうという悪いクセが出ていた。右肩が前に出るから、フォローが低く前に出ない。距離感を確認するためにカップを見て、視線をボールに戻す。これを繰り返していると、カップを見たときに前に出た右肩が戻らなくなってしまうのだ。構えてスグに打つシンプルさが大事なんだと、勝はいう。
勝がレッスンの取材のときに、いっていたことがある。
「スイングってシンプルなんですよ。どこから下ろそうとか考えすぎると、体が動かなくなります。単純にいえば、上げて下ろすだけ。クラブはボールを打つために開発されています。よくできているんです」
それはドライバーからパターまで同じ。プロとしてフルシーズンを戦いきり、大きく成長した勝の言葉は重い。シンプルに徹し無欲を貫いたゴルフは、勝みなみの来季のさらなる活躍を予見しているように思えてならない。