ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント
イ ボミ、成田美寿々のことを嫌いにならずに済んだ!?
今季4勝目を挙げ、悲願の賞金女王へまた一歩近づいたイ ボミ ゴルフ5レディス(2015)(最終日) 写真・村上航
ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント(9月4日~6日、岐阜県・みずなみCC、6559ヤード、パー72)
前半のハーフでスコアを3つ伸ばし、2位以下に4打差をつけたときは、だれもがこのままイ ボミが逃げ切るのだろうと思った。しかし、成田美寿々が16番パー5を終えた時点で1イーグル、6バーディという怒涛の追い上げを見せる。
「美寿々さんのスコアがよかったので、ものすごくプレッシャーになりました。ショットもミスしてしまったり……」
実は、今年のサントリーレディスで、イは成田に2打差をつけられての2位に甘んじている。またしても成田にやられるのかという思いが、イのスイングリズムを狂わせた。
どんなときでもゆっくり振るというのが、今年のテーマでもあるが、ついついそのリズムが速くなってしまったのだ。結局、後半のハーフでスコアを一つ落とし、通算11アンダーで成田と並んだイ。そのままプレーオフへと突入する。
4ホールを終えて、ともに一歩も引かない両者。勝負の明暗を分けたのは、5ホール目でのティショットだった。スイングリズムを取り戻したかのようにフェアウエーセンターをとらえたイに対し、成田は右の林に打ち込む。フェアウエーに出すだけの成田を見たあと、イはピン左上のカラーにボールを止める。そこから 15センチに寄せてパーをセーブ。ボギーとした成田を下した。
「負けたくない気持ちはありました。今回も負けてしまったら、美寿々さんのことを嫌いになってしまうのかなと」
もう少しで天敵をつくるところを未然に防いだ形となったイ。今季4勝、通算12勝目を挙げ、また一歩賞金女王に近づいた。亡き父との賞金女王を取るという約束を果たすまで残り12試合。わき目も振らずに突き進むつもりだ。
文・山西英希