スタジオアリス女子オープン

国内女子

岡村咲に訪れた“3つ目”の試練

初日の40位タイから2位タイにジャンプアップし、最終日は最終組で回る岡村咲 スタジオアリス女子オープン(2015)(2日目) 写真・鈴木祥
初日の40位タイから2位タイにジャンプアップし、最終日は最終組で回る岡村咲 スタジオアリス女子オープン(2015)(2日目) 写真・鈴木祥

リーダーズボード

順位 選手名 スコア 合計
1 藤田 光里 -2 -4
2T 岡村 咲 -5 -1
2T 成田 美寿々 -2 -1
2T 渡邉 彩香 -2 -1
2T 菊地 絵理香 -1 -1
6 表 純子 E E
7T 森田 理香子 -3 +1
7T 山城 奈々 -1 +1
7T 北村 響 -1 +1
7T 上田 桃子 E +1
スタジオアリス女子オープン(4月10~12日、兵庫県・花屋敷GCよかわC、6376ヤード、パー72)

「ピーン」とパターを打つ心地よい音のあと、歓声と拍手が会場を包み込んでいた――。

 プロ4年目、高知県出身の岡村咲が、初日4オーバーの40位タイから5つスコアを伸ばし、通算1アンダーの2位タイに浮上。悲願のツアー初優勝に向けて大きく前進した。

「今日はアイアンショットがピンにしっかり絡んでくれましたし、パターがおもしろく入ってくれました」

 と振り返る岡村。

 昨日のゴルフとは打って変わって前半からバーディラッシュ。正確なアイアンショットでバーディチャンスを演出すると、長い距離のパターがおもしろいように入った。

 2番(パー5)では2メートル、3番(パー3)は3メートル、4番(パー4)で3.5メートルのバーディパットを沈めた。後半に入ると、9番(パー4)は7メートルのバーディパットを沈めるなど、3つスコアを伸ばした。13番(パー4)のボギーが悔やまれるが、スコアメークに苦しむ選手が多い中でたたき出した「67」は賞賛に値する。

 一見、明るく元気で好調に見える岡村だが、今季開幕を迎えるまで、大きな二つの困難と試練を抱えていた。

 一つ目は、PRGRのクラブ使用契約が昨年限りとなり、今年からフリーとなったことだ。

「自分に見合ったクラブを見つけることがすごく大変でしたけれど、自分に厳しいクラブを使うことで、腕を磨いていきたいという思いで、新しいクラブを作ってもらったんです」

 使用クラブのメーカーは「ジャンバティスト」で、ドライバー、アイアン、ウェッジは新たに“岡村仕様”として職人が作りこんだものだった。
好スコアの起爆剤となったピンパター1-Aを手にする岡村咲 スタジオアリス女子オープン(2015)(2日目)
好スコアの起爆剤となったピンパター1-Aを手にする岡村咲 スタジオアリス女子オープン(2015)(2日目) 【拡大】
 そして極めつけはPING(ピン)「1-A」のパターを使用していたこと。これは1959年にPINGの創業者であるカーステン・ソルハイムが考案した独特のデザインのパター。

「徳島県にある練習場の倉庫にあったパターを父が譲ってもらったんです。パター対決していたら中々勝てないんで、『これ使わせて』ってお願いして使っています」

 打つと「ピーン」という金属音が鳴り響くため、メーカー名が「PING」になったという逸話があるほど。この音が今日はグリーン上で何度も響いていた。そうした新しいクラブとの出会いが、岡村に刺激を与えた。

 そして二つ目。岡村が乗りこえなければならない壁が、今でも続く持病の食物アレルギーだ。

 今季はマスクをつけてプレーする姿が見られるが、単なる花粉症という理由だけではない。数多くの食事制限を余儀なくされ、ツアー生活を過ごしているのだ。

 というのも、昨シーズンの検査で重度のアレルギー体質であることが判明し、小麦粉、卵、乳製品など、あらゆる食品を食べてはいけないと医師に診断された。治療しながら、体調管理も続けなければならない中でのシーズンだった。それは今シーズンに入っても変わりはなかった。

「今年のオフは治療でほとんど練習できませんでしたし、3カ月で5ラウンドくらいです。食事も自炊が主ですが、食べていいものが少ないので、すごく大変です。体重もすぐに減るので体調管理にも気を配らないといけない。今年初めにはバームクーヘンを食べたら、呼吸困難になって、気がついたら8時間くらいベッドに寝込んでいたこともあったりして……。一人暮らしだったので、気をつけなければならないことがたくさんあります」

 医師には「ゴルフをやめるべきだ」と通告されたというが、プロゴルファーとしてツアーで戦いたいという気持ちを抑えることはできなかったという。

「今は東京でレーザー治療しながら、体調を整えているので、そこまで戦えない体ということではありません。それに他の病気でもっと苦しんでいる人がいるのに、私のような体だからといって、諦めることはできません。自分が頑張って少しでも多くの人に元気を与えられるのであれば、それはそれでうれしいです」

 今季はQTランキング47位でフル参戦とまではいかないが、レギュラーツアーの優先出場権を持つ。自身の開幕戦となったヨコハマタイヤPRGRレディス、Tポイントレディス、アクサレディスin MIYAZAKIは予選落ち。先週のヤマハレディースオープン葛城でようやく予選を通過し47位タイに入った。

 そんな中で訪れた初優勝のチャンス。トップの藤田光里とは3打差で、逆転優勝のチャンスは十分だ。最終日、最終組は初の経験となるが、

「緊張してしまうかもしれないですけれど、とにかく自分のゴルフをすれば結果はついてくると信じています」

 と前を向いた。

 そして岡村に与えた3つ目の試練。それが明日の最終日と言っては少し大げさだろうか。「ピーン」と打つパターの音が最終ホールの18番で大歓声とともに耳に入ってくる瞬間をしっかりと見届けたい。

文・キム ミョンウ

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