LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ

国内女子

テレサ・ルーの“落ち着き”と穴井詩の“緊張”から見る“明と暗”

得意のコーライグリーンだったことも勝因の一つだったというテレサ・ルー LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(2014)(最終日) 写真・鈴木祥
得意のコーライグリーンだったことも勝因の一つだったというテレサ・ルー LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(2014)(最終日) 写真・鈴木祥

リーダーズボード

順位 選手名 スコア 合計
1 テレサ・ルー E -10
2 穴井 詩 +1 -10
3T 大山 志保 -2 -6
3T ジョン ヨンジュ +1 -6
5 渡邉 彩香 +1 -5
6 香妻 琴乃 +2 -4
7T 成田 美寿々 E -3
7T 上田 桃子 E -3
7T 申 ジエ +2 -3
10 森田 理香子 +1 -2
LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(11月27~30日、宮崎県・宮崎CC、6428ヤード、パー72)

「終わった…!」

 テレサ・ルーは穴井詩とのプレーオフで、2ホール目のバーディパットを決めた瞬間、そう心の中で叫んでいた――。

 最終日・最終組の2人に勝負はゆだねられた。通算11アンダーでトップを走る穴井を1打差で追うテレサは、1番(パー4)をボギー発進としたあと、4番(パー4)でバーディを奪って10アンダーに。一方の穴井は2番(パー5)をバーディとしたあと、3番から5番まで3連続ボギーで通算9アンダー。そして、テレサは5番をパーセーブして、逆転に成功する。

 穴井はこのときの心境をこう振り返る。

「緊張していましたし、3連続ボギーした時点で私の勝ちはないのかも…」

 そう心の中で思ったという穴井は完全にメンタル面で相手に負けていたのかもしれない。

 一方、逆転に成功したテレサだが、決して勝てるとは思っていなかった心境だったことを吐露した。

「最初は追う展開だったので、勝てる自信もありませんでした。1番からボギーをたたいてしまって、パットのラインも難しくて読めませんでしたから」

 ただ、こういう接戦の時だからこそ大事にしていることがあるとテレサはキッパリと答えた。

「もし私に勝機があったとするならば、このコースのグリーンがコーライであることです。台湾のゴルフコースはコーライが多いので、それに慣れているのは強みです。それにグリーン周りのラフからのアプローチはたくさん練習したので、そこまで怖くないという気持ちもありました。特に接戦になったときは、自分の集中力を大事にしています。腰の動きやテンポを崩さないようにプレーに集中することを心掛けています。優勝することを意識しない。これはすごく大事だと思います」
5度目の最終日・最終組も結果を出せずに終わった穴井詩 LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(2014)(最終日) 写真・鈴木祥
5度目の最終日・最終組も結果を出せずに終わった穴井詩 LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(2014)(最終日) 写真・鈴木祥 【拡大】
 追い込まれたときの対処法をテレサは知っていた。一方で、穴井は、

「3連続ボギーのあと、ようやく開き直ることができましたが、プレッシャーがあったのは変わりありません」

 と話す。心理的な面で、テレサに勝てる要素はこの時点で見つからなかったのかもしれない。

 バックナインの10番(パー4)は互いにバーディ。その後、テレサが15番(パー4)をボギーとし、通算10アンダーで穴井と並び、プレーオフへ。

 1ホール目は互いにボギー。2ホール目に右から左へ90度近く曲がる5メートルのラインを完璧に読み切り、バーディパットを沈めたテレサが勝利を手にした。

「この日、一番いいパットでした」

 と喜ぶテレサ。

 一方、敗れた穴井は、

「あれだけいいバーディパットを決められたのでしょうがないですね……」

 と相手を称えていたが、5度目の最終日・最終組で、またもや勝ちきれなかった悔しさは涙に変わっていた。

 泣き崩れる穴井を迎えた成田美寿々が言う。

「プレーオフは楽しんだもん勝ちなので、楽しんでおいでと言って、送り出しました。結果は残念ですね……。詩さんの悔しさが伝わるので、私ももらい泣きしそうでした」

 ゴルフはやはり残酷なスポーツだ。いくら調子がよくても、接戦を勝ちきる強いメンタルがなければ優勝は手に入れられない。

 今年、日本女子オープンを制したテレサには落ち着きと自信があった。そして、テレサと穴井との間には、冷静さや経験の差が確実に表れていた。それが勝負の分かれ目となったのかもしれない。

 テレサは今季3勝で、ツアー通算4勝をマーク。また日本女子オープンに続く、年間メジャー2勝で5年シードも獲得した。同一年にメジャー2勝した選手としては11人目で、台湾選手としては1983年のト阿玉以来2人目となった。

「ト阿玉さんの記録に並ぶことができて、すごく光栄です。台湾にはゴルフの選手が少ないので、国内でも人気スポーツにしていきたい気持ちはあります」

 たどたどしい日本語だが、一生懸命相手に伝えようとする日本語には好感が持てる。

「日本食はすき焼きが大好き。日本人は優しくて、日本のご飯もおいしい。ツアーの移動もしやすくて、これからもずっと日本ツアーでプレーしていきたい」

 日本ツアーに腰をすえると腹をくくる海外選手は、家族や生活など様々なものを背負っているからこそ強い。テレサもまた、近年、安定した強さを見せる韓国選手のアン ソンジュやイ ボミのように成長していくのかもしれない。

文・キム ミョンウ

このラウンドのニュース

このトーナメントのニュース

関連ニュース

関連フォトギャラリー

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

トーナメントプロ公式サイト・ブログ