米PGAツアーでジョンディア中止も、メモリアル開催コースで2週連続のチカラワザ

昨年のメモリアルトーナメントで優勝者のパトリック・キャントレーを称えるジャック・ニクラス
昨年のメモリアルトーナメントで優勝者のパトリック・キャントレーを称えるジャック・ニクラス
ジョンディアクラシック中止もすぐさま新規イベント開催を決定、わすか5週間の準備期間という超スピードぶり。米PGAツアーは底力を発揮した。

7月、メモリアルトーナメントの舞台、オハイオ州のミュアフィールドビレッジGCで2週連続のPGAツアーが開催される。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月半ばから中断が続いていたが、世界のプロスポーツの中でも先陣を切って6月11日のチャールズシュワブチャンレンジ(米テキサス州フォートワース)から再開し、そのまま年内はほぼびっしりと埋まった新スケジュールが決まっている。しかしウイルス感染は地域によってまだまだ収束が見えないところもあり厳しい状況が続いているのも現実だ。

ジョンディア・クラシック(7月9~12日)が開催されるはずだったイリノイ州は中止が決まった時点で“フェーズ3”で、「50人以上の集会は禁止」。同大会は今年の中止を決断した。が、PGAツアーは中止と同時に代替えのトーナメント開催も発表。わずか5週間前の発表にゴルフ界ではさすがに驚きの声も上がった。

その舞台となるコースは数カ所の候補の名前が上がり、当初一番有力だったのはPGAツアー本部のあるTPCソーグラス。第5のメジャーと呼ばれるプレーヤーズ選手権の舞台で3月、松山英樹が初日に63のコースレコードをマークしながらもコロナウイルス感染拡大で中止になった。自前のコースがあるPGAツアーは当然難しくないわけだが、一方でトーナメント間の移動を軽減するという意味で、前週のロケットモーゲージが開催されるミシガン州デトロイト、また翌週のメモリアルトーナメントのオハイオ州での開催折衝を開始していた。最終的にはジャック・ニクラスが大会ホストのミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州ダブリン)で2週連続開催が確定したというわけだ。

気になるタイトルスポンサーは、「Workday(ワークデイ)」という北カリフォルニアに拠点を置く金融、財務のマネージメント会社。すでにPGAツアーとの関わりは深くフィル・ミケルソン、デービス・ラブ3世、マット・クーチャーらと契約を交わし、さらに近い将来にはNBAのスーパースター、ステフィン・カリーがホストを務める大会をサンフランシスコ周辺で開催することが予定されているという。つまり今回のニューイベントの開催は彼らにとっては“テストラン”で、翌週のホストを務めるニクラスからも大会運営について多くを学べる好機というわけだ。

一方で2週連続のトーナメント開催となるミュアフィールドビレッジGCは、PGAツアーからコース使用料を得ることができる。本来なら多くの人が入場するため、コースにとっては負担となるが、今回は少なくとも第1戦目に関しては無観客試合が確定。メモリアルももしファンが入場しても例年よりはかなり少ない人数に制限されることから可能になったようだ。

賞金総額なども含めて正式発表(6月4日時点)はこれからだが、PGAツアーがここまで迅速に対応できるのにはやはり潤沢な財源を持つことが大きい。無観客試合でチケット収入がなくなり苦労を強いられているのはむしろローカルの大会運営で、PGAツアーそのものは“放映権収入”があるので大会が開催されてテレビ、オンラインで放映されればツアーは安定した財源を確保できる。

ちなみに昨年12月に22~30年のテレビ放映権の契約を更新したばかりで、その額は年間7億ドル(約770億円)。これまでの4億ドルから一挙に1.7倍以上にも跳ね上がった。デジタル部門はすでにディスカバリー社がGOLFTV として米国外での放映権を19~30年までを20億ドル(約2200億円)で獲得している。

ツアー再開に先がけて5月17日にはローリー・マキロイ、リッキー・ファウラーらによるチャリティイベント、翌週の24日にはタイガー・ウッズ、ミケルソンとNFLのスーパースターの“ザ・マッチ・チャンピオンズforチャリティ”が開催され、全米で580万人がテレビ観戦と、高視聴率が記録された。このことでPGAツアーは無観客でもテレビイベントとしてファンに受け入れられることを認識した。

まもなく始まるツアー再開もこの新大会を含む5戦目までは無観客試合が確定、それでも世界のゴルフファンは大いに楽しみに待っている。

文・武川玲子(在米ゴルフジャーナリスト) 写真・Getty Images

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