三井住友VISA太平洋マスターズ
無観客試合で響いた歓声 香妻陣一朗が“応援団”の前で勝ち取った初V
秋吉翔太、出水田大二郎ら応援団から、ペットボトルのウォーターシャワーを浴びる 三井住友VISA太平洋マスターズ(2020)(最終日) 写真・鈴木祥
<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇15日◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
無観客で行われた本大会。香妻陣一朗の2打目が最終ホールのグリーンに届くと、待ち構えていた“応援団”から大歓声が湧き上がった。
18番パー5を迎えた時点で、首位とは1打差。「イーグルを狙いにいこうと思っていた」と勝負をかけた。緊張の中ドライバーで振り抜いたティショットはフェアウェイを捉えると、ピンまで残り230ヤード。風が強まるなか、5番アイアンで放ったセカンドショットは、着弾地点が見えなかった。「1ピンくらいについていればいいなと思った」ボールは、実際にグリーンに上がってみると、タップインできるほどの距離にピタリとついていた。これを沈めればトータル8アンダーで単独トップ。
グリーン脇には、幼い頃からともに腕を磨いてきた出水田大二郎や、同じ九州出身の秋吉翔太、普段から仲が良く自身のYouTubeにも登場する浅地洋佑らの姿が見えた。イーグルパットを沈めると、仲間たちに向けてガッツポーズ。「緊張しないくらいの近さだったので、もうちょっと遠かったら外していたかも」とはにかんだ。
この優勝で、21年の米ツアー「ソニーオープン・イン・ハワイ」への出場権も獲得。海外への切符も手にしたが、初優勝までは遠かった。
高校3年時の12年に「九州アマ」で優勝、「日本アマ」では3位に入るなど実績を残し、松山英樹らとともに「世界アマ」の代表にも選ばれた。2012年のプロ入り後は、何度も優勝争いに絡むも頂点には届かず。18年には出水田や、姉の香妻琴乃が初優勝を挙げるなかでシード落ち。「もう勝てないんじゃないかと思ったこともあった」と、苦しい時期を味わってきた。悲願の初優勝を間近に捉え、プレッシャーがのしかかる。
そんな姿を、我がことのように緊張の面持ちで見つめていたのが出水田。横峰さくらの父・良郎氏が鹿児島県内で開いたゴルフスクール「めだかクラブ」でともに腕を磨いてきた。「自分のゴルフよりも頭がいっぱいでした。すごく苦しんでいる場面も見てきたので、全部思い出して感動しました」と、これまでの思いをぶつけるように、ペットボトル15本分のウォーターシャワーでめいっぱい祝福した。
肌寒い御殿場で浴びる冷たい水にも、「これがウォーターシャワーなのかと。めちゃくちゃ気持ちよかったですね」と笑顔。たくさんの仲間に祝われた初優勝は、格別だった。(文・谷口愛純)
記事提供:ALBA.Net(GGMグループ)
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