ISPSハンダグローバルカップ
武藤俊憲「今週だけはポールターよりうまかった」
世界の強豪との混戦を制して勝利した武藤俊憲が賞金王を狙う! ISPSハンダグローバルカップ(2015)(最終日) 写真・佐々木啓
ISPSハンダグローバルカップ(6月25日~28日、山梨県・ヴィンテージGC、6774ヤード、パー71)
世界ランキング26位のイアン・ポールターや2011年のマスターズ覇者のシャール・シュワルツェルら海外選手が出場したISPSハンダグローバルカップ。最終ラウンド、首位タイで出た武藤俊憲が6バーディ、3ボギーの68で回り、通算14アンダーで並んだアンジェロ・キューとのプレーオフを制して今季初優勝、3年ぶりの通算6勝目を挙げた。
4打差に19人がひしめく混戦でスタートした最終日。上位陣が伸び悩む中、最終組の4組前から7アンダーでスタートしたアンジェロ・キューが64で回り、通算14アンダーでホールアウト。ここが一つの目安となった。
武藤は15番をボギーとし、通算12アンダーに後退した。
「16番でリーダーボードを見たときにアンジェロが14まで伸ばしているのを確認しました。上がりバーディ、パー、バーディでいいでしょうって話していました」
残り3ホールで2つ伸ばさなければいけないことを確認すると、16番(パー4)は、「あの辺に行けばいいや」と打った20メートルのバーディパットがカップに消え、17番(パー3)はティショットのミスからピンチを招いたが、4メートルのパーパットを沈める。
バーディが必要な18番(パー5)は、4メートルのバーディパットをねじ込み、有言実行で追いついた。プレーオフに入っても1ホール目はティショットが左の林に入る大ピンチ。
「あそこを狙わないと勝てないと思いました」
木々に囲まれた中で、横に出すかと思われたがグリーン方向のわずか1.5~2メートルほどの間を狙い見事に脱出。そのホールを両者パーで分けると、2ホール目に1.5メートルのバーディパットを沈めた武藤が勝利を手にした。
「久しぶりだし、長いこと時間がかかったなという印象です。周りの関係者からもそろそろ勝ってほしいという声も届いていましたし、娘からも優勝してほしいと言われていたので……」
プレー中は、真剣勝負の中でも楽しむことで自分に流れが来ると、笑顔を絶やさなかったが、周囲や家族の思いに対して応えられたことに思わず涙腺が緩んだ。昨年、左足首を負傷して長期の欠場を余儀なくされてからの復活でもある。
「普段は海外選手とは海外で戦うことが多いですが、この試合は日本で戦うわけですから。日本にもうまい選手はいるというのを見て欲しかったです。今週だけは、イアン・ポールターよりうまかったと。その辺だけは自信を持っていいと思います。しっかり(賞金を)積み重ねて賞金王になれたらいいですね」
世界の強豪が集った中で勝ったことには胸を張る。この自信を糧に、目指すは日本ツアーの頂点である。
文・小高拓