首位と4打差の4位タイでスタートした松山英樹が、国内メジャーに王手をかけた。
前日、15番パー4の2打目を打つ際、ソールをしたあとにボールが動き、それに気がつかずに打ったためホールアウト後に2罰打を受けた松山。
「昨日の夜、なんで気がつかなかったのかとかいろいろ考えていました。スタート前もすごく気になっていました」
その影響もあり、1番パー4で3打目のアプローチを寄せられずに、今大会、実質“初ボギー”(2罰打のダブルボギーを除く)をたたいた。
「出だしのボギーは動揺というか、今日は打っちゃうんじゃないかと思いましたが、途中から集中して立て直すことができました。パットが好調だったのがよかったです」
前日までとは真逆に南西からの強い風が吹き、イメージが変わったと戸惑う選手が多い中、松山は風を攻略して本領発揮。アゲンストや横風に影響されないために林よりも低い球を打ち、アゲンストの風にぶつけて大きめのクラブでグリーンをとらえるなど、いろいろ球を打ち分けた。そして、2番以降は1メートル以上の微妙なパーパットを何度も沈めるなど流れを作り、7つ奪ったバーディのうち、6つは2.5メートル以上とパットでスコアを作った。
この日のベストスコアタイとなる67で回り、2位に4打差をつけて単独トップに立った。意外にも、ツアーでは最終日をトップで迎えるのは初めてのことだ。
「4打差あってもこの難しいゴルフ場だったら、いくつ打つか分からないし、いくつ伸ばせるかも分からない。爆発的なスコアを出す人がいるかもしれないし、4打差は考えずにやりたい。トップで最終日を迎えるのも初めてなので、緊張すると思う。それをどう力に変えていくかを考えて、あわてないようにやっていきたいと思います」
マスターズのティグランドでも緊張しない松山が、緊張すると口にした。
「ゴルフの試合で緊張しない人なんていないと思いますよ。ボクも当然緊張したことありますよ(笑)。最終日、トップでスタートして、強いか弱いか明日分かりますよ」
圧倒的なパワーとショートゲームを武器に、プロ転向からすぐに結果を出している松山は、関係者や選手の間で日本版タイガー・ウッズと形容されている。ウッズといえば、首位からスタートしたら後続にスキを見せない徹底したマネジメントで、9割以上の勝率を誇る。松山はどんなゴルフを見せてくれるのだろうか。
文・小高拓、写真・鈴木祥