アジアシリーズを含めて、今季これまで5試合に出場。予選落ちは1回だが、最終順位は20位前後の成績に納得がいっていなかった藤本佳則。
「調子はいいのに成績を出せていない歯がゆさを持っています」
と帯同する飯田光輝トレーナーも語るように、もっと上位で戦える手応えを感じていた。スコアが伸び悩んでいた要因の一つはパットだ。
「今季開幕してから、ショットの調子はずっといいんですよ。でも、パットはよくなかったです。パットさえよくなれば、上位で戦えるとは思っていました」
パットの調子を上げるためにしたことは何か。
「何もしません。パターを変えたり、構え方、打ち方を変えることはしません。パットは入る日もあれば入らない日もある。入らないときは『いつか入る日が来るだろう』と待つこと。今回もずっと待っていました」
同じ考えを持っているのが66歳のジャンボ尾崎だが、昨年プロ参戦5戦目の日本ゴルフツアー選手権で優勝した23歳の“焦らない気持ち”は、コースマネジメントにも生かされている。
「自分は前に前にいきたがるタイプです。でも、さすがにメジャーの難しいセッティング。例えば林に入れてちょっとのすき間を『狙ってやろう』とすると大ケガをします。パットが好調になったことで、ショットを焦らずに打てます。それが、冷静なマネジメントにもつながっています。やっぱりゴルフはパットですね!」
試合でホールをこなしていくことで、グリーンのクセ、読み方も少しずつ分かってきたという。
「あまりスコアが伸びないコースでは、自分のゴルフを発揮できると思っています。冷静にプレーできていることには自分の成長を感じています。後輩の松山英樹や呉阿順も上位にいますが、誰が上にいるのではなく、自分次第で優勝できると考えています」
同じく奈良県出身の谷口徹からは、“奈良の後継者”を指名されている。昨年、谷口が勝った今大会でツアー通算2勝目となれば、それもグッと近づくはずだ。
文・井上兼行、写真・鈴木祥