もう一つスゴさを示す別のデータがあります。最終日バックナイン(10~18番)の超難関ホールに強いということです。インスタートの場合も前半にはなりますが10~18番とします。今季、最終日バックナインのパー4で平均ストロークが4.4を超えた超難関ホールが5つありました。この5ホールを賞金ランク上位5人はどのようなスコアで回ったかが【表2】です。
鈴木はこの5ホールをまったくプレーしていないので省きますが、他の4人の中で渋野以外の3人は大苦戦。トップクラスの実力者といえども、これだけの超難関ホールではスコアを落とすのが当たり前ということなのですが、渋野一人が異次元のスコアを叩き出しています。
ワールドレディスの16番というと、首位に並んでいたペ・ソンウがダブルボギーを叩く一方で、渋野はしっかり2オンさせてパーセーブして初優勝をグッと引き寄せたホールです。資生堂の15番は長いバーディパットを決め、4打差の首位にいたミニョンがダブルボギーを叩いて一気に差を詰めたホール。そして17番のバーディで追いつき、プレーオフでの2勝目につなげています。ちなみに18番を使ったプレーオフでは渋野がパーでミニョンはダブルボギーでした。渋野の2勝は、ともに超難関ホールがキーポイントになっているのです。
以上の2つのデータからいえるのは、渋野は厳しい状況になればなるほど力を発揮できるタイプではないかということ。まだ申や鈴木と比べるとダブルボギーが多かったり、リカバリー率が低かったりと粗さが目立ちますが、秘めた魅力はかなり高いのではないでしょうか。