大宅映子に聞く女性ゴルファー活性化策「ライバルは携帯端末」

大宅映子氏
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日本ゴルフ支配人会は昨年5月の総会で「女性客の2割到達」を決議した。減少し続けるゴルフ人口への対策として、全入場者の内女性客の割合を2割まで増やすことを目標としたわけだ。しかしそこには多くのハードルが存在しているという。その問題とは何なのか。鋭い論評で知られるゴルフ界のオピニオンリーダー・大宅映子に聞いてみた。
(日本ゴルフジャーナリスト協会会長代行・小川朗)

「水を飲みたくない馬を、無理やり川まで連れていこうったって、ねえ」
大宅はゴルフ界の現状を、ため息交じりにこう指摘した。
「馬を水辺に連れていくことはできても水を飲ませることはできない」というが、日本のゴルフ界が置かれた状況はさらに厳しい。水辺にあたるゴルフ場にすら来てもらえていないのだから……。
 その理由を、大宅は「ゴルフが相変わらずオッサンのスポーツだから」と言い切ってから、こう続けた。「ファッショナブルじゃないでしょ? ゴルフファッションは相変わらず。白いベルト禁止って、随分いいましたよ。今だってロールモデルがいない」
 オッサンファッションがゴルフの印象を悪くしているのは確かなようだ。実際のところ、ゴルフ場の側も男性本位の対応をしてきた。かつて「スリーハンドレッド(クラブ)の女性用の湯舟は一人しか浸かれない、家庭のお風呂みたいな大きさだった」という。
 浴槽が小さいだけでなく、アメニティなどにも気を遣わず、洗面所が汚かったり。そうした怠慢が、全入場者のうち女性が占める割合が10.9%という惨状を呼んでいる。
そのうえで、ゴルフがかつて持っていた高級感をも手放してしまったことが、マイナス面に作用しているという。
「いい悪いは別にして、ゴルフをしていることでステータスっぽい魅力があった。でも今は地方では1万円もかからないゴルフ場が増えてきて、憧れるスポーツでもなくなってしまった」
 そうした状況下、ゴルフ場の延べ利用者数、ゴルフ場の減少傾向に歯止めがかからない。それは結局、ライバルがテニスや旅行といった他のレジャーであるという考え方自体にも問題があることの証明だろう。
「実は、本当のライバルは携帯端末。今、若い子たちにとって、スマホは手放せない生活必需品。彼らはそれをもう手放すことはできないから、自分の財布から通信費は確実に出ていく。今の若い人の所得は低い上に、使えるお金も少ない。そこからクラブやグローブ、ボールを買うのも大変」
 大宅は自他ともに認める大のゴルフ好き。「ゴルフはやるまではイヤだと思っても、実際にやってみれば楽しくなるスポーツ」というのが持論でもある。
 大学時代に初めてゴルフにふれたときは、さほど熱心ではなかったという。「最初はただひたすら、地べたにあるボールを上げようとして、すくい打ちになっているから当たらなかった。上手な人が、上から潰してボールを上げているなんて、教えてくれる人がいなかったから分かるはずもない」。
子育てのため、ハーフ60を切れないまましばらくゴルフから遠ざかり、テニスに没頭していた大宅が、その後なぜゴルフにハマったか。
「ゴルフにハマるのは、その理不尽さと不公平さです。テニスならば努力しただけ報われるし、少なくとも少しずつでも上達する。でもゴルフは、さっきできたことができない。もっと理不尽だと思うのは、不公平な結果が頻繁に起きること。フェアウェイにいいショットを打っても、行ってみたらディボット跡だったり。木に当たってグリーンに乗る人もいれば、池に落ちてしまう人もいる。一緒に回っている人が打っている時はフォローだったのに、自分の時は逆だったり。でも、その不公平感がいい。不公平なことがたくさんあって、それを乗り越えてこそ、豊かな人生。300ヤードも1打なら、1センチのパットも1打。まったく違う種類のゲームがあって、両方の課題をクリアしなきゃいけない。それでも1発、いい当たりが出ればすごく気持ちいい。ゴルフが持つ不公平感は、今の日本に必要なんです」。
だからこそ、何とかゴルフを普及させたい。「そのためには女の子をゴルフ場に連れていく男性ゴルファーを増やすこと」だと大宅さんは力説する。女性ゴルファーを増やすために必要なのは、まず男性もファッションに敏感になること。そのうえでもっとカジュアルなファッションができるゴルフ場を増やす。  
 さらにビギナーに対して7番アイアンを1本提供するなどの策も必要だ。最初に購入するクラブが安くなれば、ゴルフを始めるためのハードルももっと低くなる。
 女性のためのティーイングエリアを新設したり、スイーツ付のアフタヌーンティーをサービスしたり、アメニティセットをプレゼントするなど、女子ゴルファーが喜ぶサービスへと舵を切っているゴルフ場も少なくない。
それももちろん大切だが、大宅も指摘した、女性をエスコートできる洗練されたファッションの男性ゴルファーを育てることも必要だろう。男たちが携帯端末は手放せずとも、残りのお金をゴルフに回したくなる環境づくりがこれも視野に入れる必要がある。

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