松山英樹の快挙を支えた、チーム松山のプロ意識

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日本人初のマスターズ優勝を遂げた松山英樹。歴史的快挙を支えたキャディの早藤将太、トレーナーの飯田光輝、コーチの目澤秀憲、マネージャー兼通訳のボブ・ターナーという“チーム松山”の存在を忘れてはならない。

ロープ内で共に歓喜を味わった早藤キャディ。松山の中学、高校、大学の2学年後輩で、自身でもプレーヤーの道を歩んでいたが、2019年から裏方に回ることを決意。3年目の今年、初めて優勝をサポートした。

「(キャディの業務は)全部イチからです。コースの中で助けるというポジションが僕にできるのか」

最初はそんな思いもあったが、1年目はキャディ業務を覚えて、2年目で要領をつかみ、3年目は覚えた要領をどれだけ高く発揮できるか。少しでも松山に気持ちよくプレーしてもらうために、毎週コースをがむしゃらに歩いた。

「今でもキャディ(業務)ができているのか、どうかと思いますよ」

キャディとして未熟な時期に自分には何ができるのかと考え、コース外でのチーム内の雰囲気づくりや掃除、洗濯、雑務などを積極的に行ってきた。その雰囲気づくりは、マスターズで大きな役割を果たした。

そんな早藤キャディは優勝直後に時の人となった。優勝キャディは18番ホールのフラッグを持ち帰るのが恒例だが、竿をカップに戻した後、帽子を取ってコースに一礼。その動画がSNSでアップされ、世界中から賞賛を受けた。

「あれは自然と出ました。あんな感じになるのはすごくびっくりしました(笑)」

この一礼は、早藤キャディの人間性といえる。

明徳義塾高校ゴルフ部の高橋章夫総監督は、練習場に入ったら「お願いします」、出るときは「ありがとうございました」と、一礼する教えだった。

また、世界最高峰の舞台に身を寄せることでも変化があった。

「チーム松山は、人としてのレベルの高さを感じます。この舞台に来て、私も人としての成長をさせてもらっています」

学生時代からの染みついた習慣、米PGAツアーという世界最高峰の舞台で、プロフェッショナルな集団のチーム松山の一員にふさわしい人として成長したことで、自然に感謝の気持ちがあふれたのかもしれない。

「一生忘れない思い出をプレゼントしてもらいました。優勝の実感は少ないですが、周りの方が喜んでくれることがとてもうれしいです」

マスターズ制覇のための肉体の準備を手がけてきたのが飯田トレーナーだ。中嶋常幸や小田孔明らを担当していたが、14年から松山に帯同し、今年で8年目。年々知識を増やしながら、松山は米ツアー参戦当初より体重は十数キロ増量。“永遠のテーマ”である飛距離アップは10ヤード以上を実現している。そして、連戦をしても、莫大な練習をこなしても悲鳴を上げずに戦えるボディをつくり上げ、30人の枠しかない最終戦、ツアー選手権に7年連続出場という偉業も遂げている。

「僕がもう休んだらと思うほど努力しています」と、松山のたゆまぬ努力が体重の増量に表れている。

「目澤コーチの加入が潤滑油になって、歯車が動き出したのは事実です。(松山)英樹と二人で目指している動きに対して、リスペクトの気持ちを持って僕がどうアプローチできるのか考えました」

松山と新加入の目澤コーチとのコミュニケーションを増やして、スイングの新しい動きもサポート。当週も最高の状態に持っていき、力を発揮できた。飯田が手がけた肉体がなければ、快挙はなかったかもしれない。

「上がり2ホールは自分で脈動が感じられるぐらい心拍数が上がっていました。目標としてきたマスターズの優勝、あっという間の8年でした。グリーンジャケット、本当に似合っていましたね」

ホールアウト後、勢いよく松山に抱きつく飯田トレーナーの姿は印象的だった。

「最高のチームです。このチームだから優勝できたと思います」

早藤キャディ、飯田トレーナーの二人は口をそろえた。それぞれの役割分担でサポートし、松山が最高のパフォーマンスを発揮してつかみ取った勝利と確信している。

実は米PGAツアーは、ジョーダン・スピースやブライソン・デシャンボーら、チームの結成が増えている。先駆けであるチーム松山。この先も高い意識でチーム一丸となって新たな目標に向かい、再び日本に感動を届けてくれるだろう。

(本誌・小高拓)
※週刊パーゴルフ2021年5月4日号「芝目八目」より

週刊パーゴルフ2021年5月4日号(4月20日発売)の芝目八目では、以下のようなラインアップでゴルフ界の気になる最新情報をお届け中です。
●松山英樹の快挙を支えた、チーム松山のプロ意識
●2月にチーム松山に加わって早々の大快挙!目澤秀憲コーチってどんな人?
●実を結んだ契約先メーカー、ダンロップの不断の努力 松山がドライバーを使うようになった一番の決め手は?
●地元・松山も第二の故郷・仙台も松山フィーバー 恩師・阿部監督は「あと10年、帰ってくるな」
●タイガーをはじめ世界中から祝福の嵐 フォーブスは「この1勝が彼をとてつもない金持ちにする」

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