時代の波に翻弄され続けてきた茅ヶ崎GC 5年間の存続が決まったが、その後は?

かつては会員制だったが、現在はパブリックとなり、市民にとってより身近な存在に
かつては会員制だったが、現在はパブリックとなり、市民にとってより身近な存在に 【拡大】
河川敷コースなど、国や自治体が土地を保有し、企業が借り受けたり委託を受けたりする形で運営されているゴルフ場は意外と多いが、最近、所有者の意向により存続が危ぶまれるゴルフ場が出てきている。例えば河川敷のゴルフ場が治水事業の一環で大幅な縮小を余儀なくされるといったケースだ。

そんな中、ここ10年近くの間、存廃の瀬戸際に立たされ続けてきた茅ヶ崎ゴルフ倶楽部(神奈川県)が、少なくとも向こう5年間はゴルフ場としての運営を続けられることが決まった。同ゴルフ場は9ホールながら、西の名匠として井上誠一と並び称される上田治が関東に残した数少ない名作の一つ。存続の報に胸をなで下ろした人もいるだろう。

事のあらましをかいつまんで振り返ると、発端は2012年に土地の大部分を所有する県が、地代の値上げを当時の運営会社に迫ったこと。賃料は据え置きとなったものの運営会社は撤退し、別の事業者がゴルフ場としての運営を引き継いだが、県は16年に同地の新たな利活用案を公募。電通と東急電鉄のグループが、ゴルフ場を閉鎖して複合商業施設とする案で優先交渉権を得た。しかし、同地周辺は火災での延焼が広がりやすい木密地域であり、ゴルフ場が広域避難場所となっていたことから住民が反発。程なく電通・東急は優先交渉権を辞退した。

その後は暫定的にゴルフ場としての運営が続いていたが、19年に県が利活用案を再募集すると、ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)を代表法人とするグループが優先交渉権を獲得。ゴルフ場を残しつつ、クラブハウスや駐車場のスペースをホテルやオフィス、地域交流拠点として再開発することとなった。

ところが、計画を実行に移すべき20年度になると、周知のとおり新型コロナウイルスの感染が拡大。計画の推進が困難になったとして、双方合意のうえ、GDO案は白紙になった。

と、ここまで見てくるだけで、茅ヶ崎GCがいかに時代の波に翻弄されてきたか分かる。実際、GDO案が白紙になった時点で周辺住民からはゴルフ場の今後について不安の声が続出。そうした地元の声を受けて、茅ヶ崎市選出の桝晴太郎県議が昨年9月23日の県議会で黒岩祐治知事に方針を問うと、知事の回答は「コロナ感染症の収束が見通せない中、新たな事業提案を公募したとしても事業者からの応募が見込めないことから、茅ヶ崎市からの要望を踏まえ、当面5年間程度はゴルフ場としての活用を継続したい」というものだった。その言葉どおり、県はゴルフ場を存続する条件で新たな事業者を募り、ホテル等の整備は棚上げされたものの、引き続きGDOがゴルフ場を運営することに決まったわけだ。

しかし、知事は答弁の中でこうもつけ加えている。「感染症の収束状況や経済の回復状況を見据えながら、新たな利活用の方法について、茅ヶ崎市ともよく調整し、検討してまいります」。つまり、5年後、経済状況がよくなればゴルフ場を閉鎖しての再開発計画が持ち上がらないとも限らないのだ。前出の桝議員はどう考えているか、話を聞いた。

「地元の声を届ける立場として、5年後以降もゴルフ場ありきでの利活用を推進したいと思っています。防災拠点としてももちろんですが、せっかく歴史あるゴルフ場があるのですから、これを核として人を呼べるようにしていきたい。茅ヶ崎にはフリーランスや個人事業主の方が多く、朝、サーフィンを楽しんだ後で仕事をするといったライフスタイルが身近な街。それはゴルフにも親和性が高いでしょう。クラブハウスにコワーキングスペースやサテライトオフィスを設けることで、観光と仕事を融合したワーケーション拠点としての活用も考えられます。幸い現在の運営は地域との交流を重視し評判もよいので、このまま新たなゴルフ場のモデルを模索しつつ、地域になくてはならないものに育っていってほしいと思います」

5年後に再びゴルフ場閉鎖の危機が訪れないよう、桝氏をはじめとする県議たちには行政の動きを注視しつつ、ゴルフ場を存続させるために粘り強く働きかけていってほしいものだ。

(本誌・金子信隆)
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