深堀 今は飛ぶ人が増えたけど、飛距離以外で最近のゴルフのクオリティはどう思う?
丸山 例えば、タイガー・ウッズのプレーを間近で10年近く見てきたけど、彼ほどのアイアンの距離感を持っている選手は未だにいないと思う。タイガーに「曲がっているよね」と聞いたことがあるんだけど「1回も芯を外れていないから全然気にならない」と答えたんだ。彼は「芯に当たらなくなって曲がり出したら絶望的だ」とも言っていた。本当にタイガーのように、キメ細かく1~2ヤード刻みで打てる選手は誰もいないと思う。個人的には、それに一番近いのは英樹(松山選手)だと感じるけどね。コントロール性と距離感については、英樹はPGAツアーでも5本指に入ると思う。
深堀 タイガーは優勝争いの時などは「ティを低くしてフェードボールしか打たない」と聞いたことがあるけど…。
丸山 彼は基本に忠実。あの位置に戻れたのは、過去の自分を見詰め直したからだと思う。身体に負担が少ないスイングをする必要もあったしね。今のドライバーが、「ドローを打ちづらくなっている」ことも、タイガーは最終的に感じ取ったはず。あんな王者でも、原点に戻ろうとするのが凄い。
深堀 丸山茂樹のゴルフスタイルは、どういう風に作ったの?
丸山 ボールを曲げることが厳しくなったうえで「どうしたら良いか」考えて、まずは持ち球を決めようと…。それで1990年代に持ち球をフェードボールにして、あとは感性。身体の動きは毎日違うしゴルフは翌日に別人になっているケースも数多くあるから。その時に「どう対応できるか」常に考えて、行き詰まったら原点に戻りハーフスイング! とにかくハーフスイングがベースにある。そこから生み出すフルスイングなんだよね。一番大事なのは、自分の手の動きが9時~3時までの部分を「どう通っているか」だと思う。一流になった時こそ、自分の中のエンジンを操るコクピットを忘れてはいけないと思うな。でなければ、2~3年ですべてが終わる。何十年も現場にいる人は、活躍の度合いは別にしても自分の中で整理する所を知っているよね。
深堀 確かにそうだね。
次回も引き続きマルに、男子ツアーの若手選手のことなどについて、聞いていきます。
~ 次回に続く ~