コロナ禍で強みを発揮してシニア初優勝 篠崎紀夫の独特すぎるセルフコントロール術

「当たらないなぁ」からスタートして優勝(写真・(公社)日本プロゴルフ協会)
「当たらないなぁ」からスタートして優勝(写真・(公社)日本プロゴルフ協会) 【拡大】
マルハンカップ太平洋クラブシニアでシニア初優勝を飾った篠崎紀夫には、長い下積み生活の中で身につけた独特の調整方法がある。

塚田好宣との同学年プレーオフを制した篠崎は、シニア2 年目。10月24日生まれなので、昨年は4試合しか出場しておらず、2020年シーズンにはQTを1位で突破して臨むはずだった。ところが、新型コロナウイルス感染拡大のため、大幅に開幕がズレ込む。だが、マイペースを保ち、3戦目での勝利を手にしている。

07年、37歳のときにANAオープンでツアー初優勝。初めてのシード権も獲得した。高校卒業後に練習生として北谷津ゴルフガーデンに入ってゴルフを始め、4年目でプロテストに合格した後は、予選会(後にQT)からツアーを目指す生活を続けていた。この経験が今日に生きている。

QT1位にもかかわらず試合の中止が相次ぎ、周囲から「残念だね」といわれた。それでもペースを崩すことはなく、前向きだった。「出られる試合で結果を出そうと思ってスイッチを切らずにいました」と、優勝直後の会見で口にしている。オンとオフを切り替えるスイッチ。これをうまく使えるプロもいれば、苦手なプロもいる。篠崎は、下積み時代にこれを身につけたという。

「シードを取れないころ、毎年、予選会は緊張するわけですよ。1カ月前になるとソワソワし始める。そういう何十年の中で、上位に入ってファイナルまで進んで何とか試合に出るということを続けていたんです。そのうち、1カ月前はシビれていてもいい、2週間前までに緊張感を仕上げちゃう、というふうになったんです。頭の中で(QTでの)プレーを想像しながら練習するんです。『ああ、こうなったらマズイな』とか思いながら。そうすると練習場でもイメージどおりの球が打てなくなるんです。そこから、練習を手抜きにする。1週間前になると焦るんですけど、まだギアは上げない。軽く適当に打つ。(QTの)練習ラウンドで好調じゃダメです。『当たらないなぁ』と、ちょっと気合を入れて手探りから(本戦を)スタートしてギアを少しずつ上げていくとちょうどいい」

スイッチというより、照明の調光ダイヤルのようなもの、と言い換えたほうが分かりやすいかもしれない。

「ただ、シニアは2ラウンドしかない試合もあるので、それだと間に合わないから変えてみなくちゃいけないかもしれないですね」と笑う。しかし、今回の優勝も2日間、36ホールだったが結果を出した。

シニアになった現在も、所属は北谷津ゴルフガーデン。試合以外は、そこで練習する日常を変わりなく続けている。今年、全国に緊急事態宣言が出たときも、その生活を続けていた。そこで「いつでもティアップできる状態でいたい」と、スイッチを切らずにいた篠崎は、引き続きマイペースで戦い続ける。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※週刊パーゴルフ2020年9月22日号「芝目八目」より

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