世界に先駆けて試合を行った韓国ツアーが開催実現にこぎつけた舞台裏

優勝したパク・ヒョンギョン。キャディが思わず抱きついてしまっていた(写真・Getty Images)
優勝したパク・ヒョンギョン。キャディが思わず抱きついてしまっていた(写真・Getty Images) 【拡大】
世界に先駆けて、韓国女子ツアーのKLPGAチャンピオンシップが、先週、無観客ながら開催された。

日米ツアーがいずれも開催されていないこともあり、例年以上に豪華な顔ぶれが揃った。日本ツアーからは、アン・ソンジュ、イ・ボミの実力者二人が出場。それぞれこんな感想を口にしている。

「世界的に大変なときに試合をやってくれるのは、選手としてありがたい。無観客は韓国の下部ツアーと、日本では去年台風であったけど慣れないですね。練習ラウンドといってはおかしいけど、そんな雰囲気でした。試合でみなさんに力をあげたいという気持ちでした」(アン・ソンジュ)

「無事に試合が開催されたことがうれしかったですし、とてもありがたい。選手もファンの声や拍手で力をもらえるのですが、(無観客だと)それがないのは本当に残念です」(イ・ボミ)

開催に当たって、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は30ページにも及ぶ詳細な対応マニュアルを作っている。本大会に限らず、ツアー全体に対するものだ。新型コロナ対応タスクフォース(TF)を作り、日々変化する状況に、法律、医療の専門家を交えてのもの。週1回の定期会議を行い、準備を整えた。

これに基づき、現場では徹底した対策が行われていた。クラブハウスなど共同利用スペース出入りの際の検温、アルコール消毒などの実施。キャディはクラブハウスには入れず、ラウンド中も手袋着用が義務付けられる。

夫のキム・ソンホさんがキャディだったアン・ソンジュは「ダンナさんはクラブハウスに入れないので食事は外でしました。大変だったし、少し心配だったけど、みんな守ってやっていました」と振り返る。イ・ボミも「選手たちは対策を理解しながらとても気を付けて行動していました。特にキャディさんたちは苦労したと思います」と話している。

もともと冠スポンサーがついて行われるはずだったこの大会は、4月30日から5月3日までの日程で行われる予定だった。スポンサーの判断により一度は中止が決定したが、日程を変更して無観客で開催されることになったのは、KLPGAの英断。ウイルス感染者数が落ち着き、政府の方針も変わってきていたタイミングでもあった。

KLPGAは自身の積立金を使い、スポンサーなしでフラッグシップトーナメント開催に踏み切った。対応マニュアルを現場で徹底し、感染を拡大させることなく大会は終わった。世界ランキング3位のパク・ソンヒョン以下、トップ10の選手3人に、前出の二人やペ・ソンウら、日本を主戦場にする選手も出場する例年にない豪華なフィールド。20歳のパク・ヒョンギョンがツアー初優勝を飾っての大成功といえる。

ウイルス感染拡大の状況が違うとはいえ、日本ではまだ開催へのガイドラインが発表されたばかり(次ページ参照)。KLPGAに比べると、対応が後手後手に回っている感は否めない。

徹底的な防止対策を施すのは大前提だし、タイミングももちろんある。それでも感染の可能性がまったくないという保証はどこにもない。「感染がおきたらどうしよう」ではなく「感染の可能性はある。起きたらこうしよう」という対策をしたうえで、どこかで決断するしかないのではないだろうか。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※週刊パーゴルフ2020年6月9・16日合併号「芝目八目」より

週刊パーゴルフ2020年6月9・16日合併号(5月26日発売)の芝目八目では、以下のようなラインアップでゴルフ界の気になる最新情報をお届け中です。
●世界に先駆けて試合を行った韓国ツアーが開催実現にこぎつけた舞台裏
●ツアー再開まであと半月と迫った米PGAツアー、毎週のPCR検査にチャーター機の手配という徹底ぶり
●JGAや各プロ団体等がガイドラインを策定。日本でも大会開催に向けて動き出すのか?
●“アフター新型コロナ”のスタンダードになるのか!? スループレー専用コース太平洋C八千代Cの利便性

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