昨年の台風19号からの復旧に3700万円をかけた埼玉県の準3セク運営ゴルフ場が閉鎖のなぜ?

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果たして、その「3700万円」は必要だったのか?

昨年10月の台風19号被害からの復旧に大金をかけた妻沼ゴルフ場(埼玉県熊谷市)は、今年6月のクローズが決まっていた。約3700万円の資金の出どころは埼玉県だ。

利根川右岸河川敷にある同コースは、首都圏氾濫区域堤防強化対策の影響を受け、6月30日に32年の歴史に幕を下ろす。ゴルフ場と住宅地の間にある本堤防の勾配を、これまでより緩やかなものにすることによって堤防を強化し、首都圏を水害から守るというプロジェクトだ。

「利根川が下流で江戸川と別れる(茨城県猿島郡)五箇村から上流に向かって、平成16(2004)年から順次、工事を進めています」と話すのは、国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所の石田武司副所長。妻沼ゴルフ場のある河川敷は、今年の9月30に返還されることになっている。

1988年10月にオープンした同コースは、2018年度の入場者数が4万9000人と過去最高を記録し、翌年の前半も順調だったが、一方で閉鎖のカウントダウンが始まっていた。

台風が襲ったのは、閉鎖まであと8カ月に迫った昨年10 月。台風19号は、利根川にも「カスリーン台風(1947年)以来」(前出・石田副所長)という被害をもたらし、妻沼も18ホールすべてが冠水。営業再開まで50日を要した。その復旧の費用が約3700万円だったというわけだ。

国の所有地である河川敷を、熊谷市が公園として占有許可を得ており、その一部をゴルフ場として埼玉県が使用している妻沼ゴルフ場。管理・運営している株式会社さいたまリバーフロンティアは、埼玉県を中心に熊谷市、上里町、吉見町の自治体と地元企業などが出資した「株式会社ですが第3セクターのようなもの」(埼玉県企業局・石井淳氏)。そのため、復旧費用は同社がまず建て替える形を取り、この3月に県の予算が通って全額支払われることになったというわけだ。

新型コロナウイルス感染拡大のため、4月8日から5月6日まで休業しているのは想定外としても、たった半年の営業のために3700万円を投入するのはことに対してはどう考えているのか。

「お借りしている期間内の災害は原状復帰して営業するということ。残された期間を営業すれば一定の利益を上げられると判断しました」と、埼玉リバーフロンティア・田中誠総務部長はいう。だが、3700万円は県税ではないのか?

「県の中でも企業局は独立採算のようになっている特殊な部署なので、純粋な県税というのとは少し違います。産業団地に企業を誘致したりして収益を上げてそれを使っている形ですので……。ゴルフ場をどんな形で終わらせるかについても企業局の判断です。さいたまリバーフロンティアが運営する他の3つのゴルフ場(吉見ゴルフ場、大麻生ゴルフ場、上里ゴルフ場)のこれからの収益もありますし」(前出・石井氏)

河川敷の返還は、原状復帰が原則。「バンカーを埋めるとかマウンドを平らにするとかはしていただくことになります」(河川事務所石田副所長)。堤防工事をするからといって、そのままコースを閉めて冠水したコースを放っておくわけにもいかなかった事情もある。

復旧費用としての3700万円は一般的だと、他の河川敷コース支配人は証言する。だが、復旧してもゴルフ場から原状復帰のための費用がさらにかかることになる。自治体ではなく、一般企業所有のコースだったら天秤の触れ方は違った形になったのではないか。埼玉県企業局の在り方が独立採算だとはいえ、県の組織であることはまちがいない。そう考えると、3700万円という金額に複雑な思いを抱く埼玉県民は少なくないはずだ。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※週刊パーゴルフ2020年4月28日号「芝目八目」より

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