解体業者のトップ直撃で分かった市原練習場の鉄柱を無償で撤去した真相

フジムラの重機
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長い鉄柱で41メートル、短いものでも30メートル。緑色の鉄柱13本が約140メートルに渡り根元から倒れ、住宅の屋根を押しつぶしている映像。2019年9月10日以降、テレビに映し出された空からの光景を、目にした読者の方も多いはずだ。

ゴルフ練習場のネットを支える鉄柱が倒壊し、隣接する住宅に甚大な被害を与えてしまった市原ゴルフガーデン(千葉県)。27世帯の住宅が損壊し、けが人も出た。

この件で最も大きな話題となったのが、4000万円は超えると見られた鉄柱の撤去工事を、無償で行う解体業者が登場したこと。㈱フジムラ(本社=東京都江戸川区)だ。その英断を下した、同社の代表取締役会長である藤村一人氏が18日、本誌の独占インタビューに応じてくれた。

実はフジムラ会長、台風一過の翌日には、鉄柱の無償撤去を決断していたという。

「台風が過ぎて最初に目にしたのが、あの映像でした。朝一番で市原市役所に電話させたのですが、応援で来ていた方が応対したためうまく伝わらなかった。で、市原ゴルフガーデンにも電話したのですが、こちらも不通でした」。

18日の時点になっても、オーナーは「撤去してくれる業者が見つからない」とコメント。これを聞いて一番驚いたのが、藤村会長。「(役所から)あちらに伝わっていないのではないか」と再度コンタクトを取り、ようやく無償撤去の意向が伝わった。
本誌取材に答える藤村会長
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しかし9月26日の最初の説明会(千葉県・五井公民館)に、オーナーと弁護士は欠席。だが、当初、オーナーは出席の意向だったという。「出るつもりなのに、(オーナー側の)弁護士に止められたのです」(フジムラ会長)。

台風から1カ月以上が経過した10月10日(同公民館)に行われた2度目の説明会に、ようやく弁護士(現在は解任)と渡邉オーナーが出席。補償問題が動き出すかに見えたが、一筋縄ではいかない。

もし撤去の際に2次被害が起きた場合、フジムラ側は保障できないとしたことに、一部の住民が難色を示したからだ。だがこの問題もオーナー側が保険に入ることで解決。10月15日から準備作業、28日からの本格撤去作業が開始された。

当初は鉄骨を切断する工法を取るはずだったが、クレーンにより吊り上げて撤去する方法を選択すると、これが大正解。11月13日、13本目となる最後の鉄柱の撤去が完了。2カ月の予定が2週間と、大幅に短縮された。

それにしても無償の労働力や重機の提供という決断を下した藤村会長の意図はどこにあるのか。実は大きな理由があった。

「ウチが江戸川区と災害時協力協定を結んでいる。有事に備えて72台ある重機のうち5台を常にストックしていますが、災害時の経験がない。将来のためにも、スタッフに実際の災害現場での経験を積ませる必要を感じていたからです。それからちょうど大きな現場がいくつか終了し、人員を投入できるタイミングであったことも、良かった」

フジムラ側の負担は4200万~4300万円程度とみられるが、オーナーは残った鉄柱の撤去もフジムラに依頼したという。すでに練習場の続行を断念することは住民にも伝えており、そうなれば鉄柱は必要なくなる。

様々な事情はあれ、その行動が被災者たちを救うという善意から出たものであることは、間違いない。

(日本ゴルフジャーナリスト協会会長代行・小川朗)
※週刊パーゴルフ2020年1月7・14日号「芝目八目」より

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