大MOI(慣性モーメント)ヘッド時代に合うシャフトとは?

大MOIヘッド時代に合うシャフトとは?
PINGに続き、ヤマハ、プロギアと増える大慣性モーメント(以下、MOI)の人気ドライバー。直進性の高いヘッド性能ばかりが注目されるが、合うシャフトは一体どんなものなのか? 多くのアマが使用する5S/6Sスペックを大調査した。

取材/文・猿場トール 撮影・山代厚男 シャフト計測・PCMラボ デザイン・C-saira

〈TS1〉で5・6Sを調査!軽い大MOIとの相性は?
女子プロに大人気の三菱〈テンセイ〉。大MOIかつ軽量なタイトリスト〈TS1〉のカスタムオーダーで、アマにも大人気だとか。〈テンセイ〉のような鉄板シャフトが、最新シャフトにもあるのか? それは大MOIヘッドに合うのか?

軽・高MOIヘッドは〈テンセイ50S〉が◎

人気の大MOIヘッドに合うシャフトはズバリ、「手元緩め・先端しっかりの〈テンセイ〉が代表格」と二人はいう。「重心深度、特にシャフト軸線から深い大MOIはトップからの切り返しでフェースが上を向きやすく、手元がしっかりしすぎないほうがいい。切り返しで“間”ができて打ち急がないし、インパクトでヘッドのお尻が垂れたりせず、当たり負けない」と村田。筒も頷く。

「大人気のピン〈G410〉が最初から〈テンセイ〉を採用したのも納得で、大MOIヘッドと相性◎です。〈G410〉より軽量の〈TS1〉を打って確信に変わったし、〈ディアマナZF〉も相性がよかった。そういえば大MOIのヤマハ〈RMX〉、プロギア〈エッグ5500〉も純正シャフトが三菱製ですね……」(筒)

筒は「軽い〈TS1〉なら50S一択」と語る。「中でも一番つかまるのは〈XC〉、一番低スピンが〈アッタス11〉、クセがなくマイルドなのは〈エボ6〉、ハリのある復元力と曲がらなさの1位は〈ZF〉だと感じますが、万人に曲がらず飛距離が出るのは〈テンセイ〉だと思います」と、その性格を語っていた。

手元剛性を抑え、先端~中間部を高めたカウンターバランスで、大MOIヘッドでも振り切りやすい。先日、穴井詩が優勝したドラコン大会でも、上位3人が〈テンセイ〉だった!
タイトリスト〈TS1〉でテスト!!スリーブ抜きで186.3g、込みで192.7gの軽量ヘッドながら5000g・cm2近い数値を実現している大MOIドライバー。カスタムの人気は〈テンセイ〉に集中
  • 解説 筒康博 & 村田辰也
    動作解析機〈GEARS〉をはじめ、さまざまな計測機器で膨大なデータを蓄積。ギアを丸裸にする「PCMラボ」で研究に勤しむ
  • テンセイ50S
    村田手元は粘りつつも全体剛性は高め。カウンターだから走りもありつつ強く叩ける振り味で球にエネルギーが乗る。女子プロじゃなくとも高性能を実感できます
    軽い〈TS1〉と相性も抜群で、タイミングが取りやすく叩けるのに曲がらない。高MOIでヘッド挙動が安定しつつスピードアップできて飛ばせます
    テンセイ60S
    村田先端剛性が高めなので、軽量ヘッドでもコントロールがしやすいです。50Sより操作性がよくなって、適度な中間~手元の剛性も非常にうまい設計で叩けますね
    曲がりを気にせず叩ける組み合わせですね。操作性がアップしたうえにスピン量も減り、強い弾道が生まれやすい。もう少しヘッドが重いほうが振りやすくなると思います

5cmごとの計測剛性は?
〈アッタス11〉の手元と先端の硬さが際立ち、それ以外は僅差。「先端~中間部の剛性の高さが大MOIには効いてくるので、〈エボ6〉、〈XC-6S〉はそれに当てはまります」(筒)
手元の硬さは〈ZF〉が際立つが「こちらも先端~中間部の剛性の高さで〈ZF〉、〈エボ6〉が際立っています。〈XC-5S〉は全体的に剛性が低いですね」と、筒は解説
グラファイトデザイン ツアーAD XC-6S
5Sとは別物。クセのないしなりで暴れない
村田5Sに比べてシャフト全体の剛性が高く、暴れ感が減ってヘッド挙動が安定しやすい。先~中間部の緩やかな剛性がマイルドなしなりを体感させるので、合う人は多そう
5Sに比べて先端も手元もしっかりめ。すごくクセがなくクラブ全体の重量感でスイングできるので、ヘッドとシャフトのつながり感が増して5Sとは別物に感じます
グラファイトデザイン ツアーAD XC-5S
5Sの中ではしなり量もつかまりも一番!
村田手元、中、先と全体の剛性が低く、しなり量が5Sの中でも一番多いから、つかまりは一番いい。大MOIの深重心より、締まった浅重心ヘッドのほうが相性はよさそう
振り心地がよくてヘッドスピードも出しやすいです。ただ、シャフトのしなり戻りが早く若干トウダウンを大きく感じました。つかまりとスピンを足すならいいですね
三菱ケミカル ディアマナZF 60S
普通の重さの高MOIヘッドと相性◎
村田曲がらない先~中の高い剛性と、しなりのエネルギーを生む中~手元の穏やかな剛性バランス。でも、50Sのほうが〈TS1〉には合う。少しヘッドが重いほうが合うでしょう
先端~手元にかけての剛性に一体感があるので、軽い大MOIのメリットを出しながら自分でシャフトに負荷をかけてスピードを出せる。飛ばしにいけるのに、直進性が高い
三菱ケミカル ディアマナZF 50S
軽・高MOIと相性◎。叩けるのに曲がらない
村田剛性値には隠し味はあるのに、振り心地は非常にシンプルでクセがない。ハリのある素材を使った復元力とシャフト設計の妙ですね。振りやすいし、曲がらず叩いて飛ばせる
〈テンセイ〉より手元が硬くてボクには振りやすく、ヘッドの追従性がいい。しなり戻りが早いのにインパクトで暴れない。走りと叩ける感じの両方があって〈TS1〉と相性◎
USTマミヤ アッタス11 6S
タメすぎない人に結果が出やすい
村田中間~手元の剛性が高く、軽ヘッドだとハードに感じる。シャフトに強い負荷をかけない、タメがほどける人のほうが先端のオートマチックに走る動きで結果が出ます
しっかりした振り心地は好きです。ヘッド性能を生かすというよりは、中間部もかなりしっかりなので軽さや上がりやすさを抑える組み合わせなのかなと感じました
USTマミヤ アッタス11 5S
軽ヘッドと相性◎。スピンは一番減る
村田中間部の高い剛性と先端部の低い剛性の差が大きく、軽量の高MOIヘッドにうまく仕事をさせるタイプ。それでいて叩ける感じもあるし、不思議にスピン量が減る
軽量ヘッドに合いますね。高弾道の〈TS1〉と低スピン性能が合わさって飛びます。タメのきつい人には強弾道、タメられない人には高弾道と、真逆の結果なので注意が必要かも
フジクラ スピーダーエボリューションVI 661S
打ち手を選ばず、大MOI以外にも合う
村田今までのエボシリーズの手元剛性を踏襲した感じで、スムーズに移行しやすいはず。先~中にかけて広くしなりを感じる剛性バランスで、合わない人が少ないと思う
個人的には幅広いヘッドに合いそうなシャフトです。自分で負荷をかけたくなるので高MOIヘッド以外にも相性がいいかも。打ち手とヘッドを選ばない仕上がり
フジクラ スピーダーエボリューションVI 569S
しなりを感じやすい、ちょいつかまり系
村田中間部に低い剛性を持ってきたことで振りやすさと絶妙なマイルド感がある。手元剛性の高さも〈エボ4〉ライクな感じ。叩ける感じをにおわせつつも、実はちょいつかまり系
〈TS1〉のつかまりやすさと上がりやすさを生かしながら、スピードアップしやすい組み合わせ。軽量ヘッドでもしっかりとしなりを感じて振れるし、右に抜けづらい
極大MOIは動かない。ヒザ下で見極めよう
軽量・大MOIヘッドを試したが、 確かにシャフトの相性はさまざま、との二人の実感。そこで、今度は【極大】MOIヘッドで実験してみることに。ノーマル重量ヘッド、ヤマハ〈RMX〉のストックカスタムだとどれが一番?
村田知る限りでは、左右MOI 5760g・cm2というのはナイキの5900に次いで2位のはず。極大MOIと断言できるね
RMX220ストックシャフト評
フジクラ スピーダーエボリューションVI 569S
村田しなりの多さでヘッドの重さをインパクト前に感じすぎてしまった。相性が合わない人は再現性が若干落ちるかも
しっかり感を感じて振りにいくと、しなり戻りが大きくてつかまりすぎる場合も。とにかくスピード感があります
三菱ケミカル ディアマナZF 50S
村田しなりにクセがないから、極大MOIヘッドの挙動を邪魔している感覚がまったくない。純正的なカスタムの組み合わせ
手元のしっかり感も追従性も感じるのに、左を消せて個人的に好き。ヘッドのオートマな挙動がさらに増しますね
グラファイトデザイン ツアーAD XC-5S
村田プル角の大きいつかまるヘッドとしなりでフェースターンを促すシャフトの組み合わせは、つかまりすぎに注意
シャフトに負荷をかける僕は、ヘッドの挙動を大きく感じすぎてしまいました。でも、振り心地はとてもしなやか
三菱ケミカル 純正・TMX-420D
村田結局、これに落ち着く気もします。軽いけど暴れず、しなりが心地よい。まずはこの組み合わせを打つのが基本
すごくやさしく感じるか? 物足りなく感じるか? 僕には少し物足りなかったです。簡単に感じすぎるのも罪です
大MOIなのに、クセのないキレイな顔をしています。実際にコースで打つと、飛んでいく球の直進性に驚きます
RMX120ストックシャフト評
フジクラ スピーダーエボリューションVI 569S
村田叩きにいきたくなるが、しっかり戻るからつかまりは大きい。でも、合うと飛距離に直結する組み合わせでもある
しなりのエネルギーが自然にたまるから無理にリリースせず走りを体感できます。操作したい人は合わないかも
三菱ケミカル ディアマナZF 50S
村田クセがないしなり幅と、タイミングの割にインパクト時の先端コントロールも不要。幅広いタイプに合うと思う
しっかり感と安定感、インパクトの再現性がいい組み合わせ。ボクは〈220〉よりはるかに曲がりませんでした
グラファイトデザイン ツアーAD XC-5S
村田タメて打っても、しなり戻りがしっかりある。この組み合わせは〈220〉より好きな人が多いはず。飛ぶ
叩かずに少しだけフェースターンするなら自然にヘッドスピードアップできる組み合わせ。相性はいいですね
三菱ケミカル 純正・TMX-420D
村田合わないかな? と思っていたけど、すごくいい。自然にヘッドスピードもタイミングも最適化される感覚
自分でシャフトの挙動を管理しなくても、適度なしなり量があり、やさしく・力強く復元してくれます

ヒザ下の辺りで狙いどおりにくるものが◎

ノーマル重量のヤマハ〈RMX120/220〉は、どちらも5000g・cm2をはるかに超える“極大”MOIヘッド。ヘッドが動きづらくフェース開閉も少なくなり、インパクトでブレが減る半面、フェースの向く方向にボールが直進してしまう。つまり、スクエアフェースに導く重要な役割をシャフトが担っている。そこで〈RMX〉のストックシャフト4機種を打つと「当然だけど純正シャフトは打ちやすい。でも、少し軟らかいので5Sのカスタムで選ぶなら〈ディアマナZF〉だね」と村田。筒は動作解析機でヘッド挙動を詳細に調べ、こう解説する。

「極大MOIヘッドに合うシャフトを選ぶコツは、インパクト手前のヒザ下の場所で“イメージどおりにヘッドがくるか”。極大MOIは動きづらく、ヘッドの主張が強いため、無理に引っ張ろうとするとミスになる。インパクト直前も当然操作不能なため、勝負はヒザ下の位置で決まるのです」(筒)

村田はノーマル重量・極大MOIの〈RMX220〉に〈ZF〉が、筒は〈RMX120〉に〈エボ〉か〈ZF〉がヒザ下でビタッとくる結果に。前ページでテストした軽量・大MOIのタイトリスト〈TS1〉と似た結果だった。村田はこの点について「よりMOIが大きく、より重くなると、スイング中のヘッドの垂れが大きくなるので、先端~中間部の剛性はより重要ですね。〈ZF〉はその点で思いどおりにヒザ下にきやすかった。合うシャフトが見つかると、極大MOIヘッドは最強ですね。本当に飛んで曲がらない」と、えびす顔だった。

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