市原の練習場倒壊の原因は老朽化と固定式ネット 新たな設備投資が難しい業界の現実を表している!?

市原ゴルフガーデン脇の駐車場に止められた車のボンネットには鉄柱がめり込んでいた
市原ゴルフガーデン脇の駐車場に止められた車のボンネットには鉄柱がめり込んでいた 【拡大】
第2第3の鉄柱倒壊事故を起こしてはならない。全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)が、全国約3600カ所の練習場に向け、注意喚起に乗り出した。練習場の施設機器の点検を呼び掛ける文書を会報とともに送るという。同時に災害対策マニュアルの存在も強くアピール。アウトドアの練習場だけでなく、インドアの練習場、さらにはゴルフ関連団体にも送るというから徹底している。

「啓蒙活動の一面もあります。インドアのゴルフスタジオなどで働いているプロゴルファーは、アウトドアの練習場でも教えているケースが多いですから。情報を共有していただき、危機管理に役立てていただければ」(下部団体の関東ゴルフ練習場連盟関係者)

きっかけは屋外のゴルフ練習場のネットを支える鉄柱が倒壊し、隣接する住宅に甚大な被害を与えてしまった市原ゴルフガーデン(千葉県)の問題。市原市の危機管理課によれば、被害を受けた5人以上の世帯には10万円、4人までの世帯には7万円の住宅補助が出ているという。すでに8世帯がこの制度を利用し、5~6世帯が物件を探しているとのこと。

9月22日、現地で被害住民の二人連れに取材してみたが「今は話し合いの最中なので、答えられない」と口は重かった。そこで24日、市原ゴルフガーデンに電話してみると担当者が出たが、「弁護士からしゃべるなといわれているので話せない」と繰り返すのみだった。

そんな中、26日に新たな展開があった。国立競技場の解体を請け負った2社のうちのひとつである(株)フジムラ(東京都江戸川区)が被災者を助けたいとして、無償で鉄柱などの撤去を行うと申し出たのだ。実はフジムラ側は台風の翌日である9月10日の時点で練習場側への支援を決めていた。停電だったため練習場への連絡が取れず、フジムラ側は市原市役所に連絡。市役所から練習場側に撤去の意向を伝えてもらっていた。その後、練習場側もフジムラの申し出に合意したことで、26日に住民に伝えられたわけだ。

「話し合いの場でも、実は最後まで無償とはいいたくなかった。でも説明会で住民から『ちゃんとゴルフ(練習)場と話は出来ていて、契約はしているんですか?』という質問も出て、無償の話をいわないと、話が進まない状況になってしまった」(同社の西塚智取締役総務部長)

だが被害者と練習場側との話し合いは依然として難航しているのが現実。そのためフジムラとの話し合い終了後も住民側は撤去派と慎重派に分かれ足並みが揃っていない、との一部報道もある。

29日がタイムリミット。被害を受けたとされる約40世帯の同意書が揃うことが無償で撤去する条件となるが、撤去の際に起きた損害については保証しないとの一文があり、これに抵抗を感じている住民もいるという。

この一件は連日ニュース、ワイドショーで取り上げられ、練習場業界全体のイメージダウンが危惧される。そこで再発を防止するため、JGRAも注意を呼び掛けたわけだ。

「ゴルフ練習場というものが安心安全なものでないと思われてしまっては大変。想定外の風に対する対応と、万が一起きてしまった場合に保険などで対処できるよう、各施設にしっかりとした備えをしていただくのが目的です」(JGRA横山雅也会長)

文書では、倒壊の原因が鉄塔の老朽化と固定式ネットにあることを指摘。ネットの張り方、風速に基づく昇降手順、鉄塔の腐食の進行度合い及びかさ上げの有無などの自主点検と対策を確認するよう求めている。

アウトドアの練習場は相続税の問題から「自分の代限りで練習場を閉める」という経営者が多く、減少傾向に歯止めがかからない。設備の改修どころか維持、管理に経費を使わないということにもなりかねず、今回の倒壊事故は減少に拍車をかけてしまう危険性をはらむ。

業界全体のイメージダウンを食い止めるためにも、まずは市原ゴルフガーデン側が被害を受けた住民たちに誠意ある対応をしていくしかないのだが。

(日本ゴルフジャーナリスト協会会長代行・小川朗)
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