東京五輪でゴルフ場利用税免除の方向 えっ、選手の非課税って当たり前じゃなかったの?

「不可解な現実」に不満を抱くIGFのドーソン氏(左)とスキャンロン氏
「不可解な現実」に不満を抱くIGFのドーソン氏(左)とスキャンロン氏 【拡大】
8月15日、国際ゴルフ連盟(IGF)のトップから、日本のゴルフ関係者に向けて厳しい指摘が飛び出した。

「ゴルフ場利用税が廃止される方向に進み、接待の道具というイメージが払拭され、オリンピック競技の健全なスポーツとして認識されるようになって欲しい」

発言の主は、IGFのピーター・ドーソン会長。本番を1年後に控えたテストイベント「日本ジュニア選手権」2日目(埼玉県・霞ヶ関カンツリー倶楽部)のことだった。

IGFがアクションを起こしたのは、これが初めてではない。一昨年の暮れにも「ゴルフに役立つレガシー(遺産)を残すべき。未だに税金をかけるのはいかがなものか」という内容の文書を、スポーツ庁・鈴木大地長官に送ってきている。送り主は、テストイベントにも来ていたアントニー・スキャンロン・エグゼクティブディレクター。しかし、その甲斐もなく、一向に撤廃できない「不可解な現実」に不満を抱いている。それが表れたのがドーソン氏のコメントだ。

そんな折も折、文科省が来年度の税制改正要望で、五輪のゴルフ競技に出場する選手にはゴルフ場利用税を課さないように求める方針を決めた。また現在「18 歳未満」「70歳以上」となっている非課税対象を「30歳未満」「65歳以上」まで広げることを要望する。「『完全撤廃』の旗は降ろさない」(日本ゴルフ協会・塩田良事務局長)としながらも「非課税年齢枠の拡大」という現実路線に舵を切ったわけだ。

ところでゴルフを生業としているプロゴルファーたちは、現在ゴルフ場利用税を払っているのだろうか。先週行われた女子ツアー、ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント(茨城県・ゴルフ5サニーフィールド)でプレーした女子プロに限っていえば、ここでは利用税を払っていない。ゴルフ場が徴収先の茨城県に免除申請を出し、それが認められていたからだ。

一方、今週行われる男子ツアーのANAオープン(北海道・札幌GC輪厚C)に出場している男子プロたちは、利用税の上限額である1200円を払うことになるという。こちらは「エントリーフィやキャディフィ、食事代同様、ゴルフ場利用税も払っていただいております」(札幌GC輪厚Cの話)とのことだった。

男子ツアー、女子ツアーの差ということではなく、都道府県の判断によるところが大きく、まちまちなのだ。非課税対象の大会から外れていれば、試合に出ているプロであろうと、利用税は取られているのが実態だ。

その一方で国体出場選手はすでに非課税となっており、今後は五輪やアジア大会から日本アマチュア選手権など国内大会に出場する選手にも、これを求めていくという。

「オリンピックもある訳だし、一定の成果をあげたい」(スポーツ庁健康スポーツ課)と、自国での五輪開催というタイミングで現実路線に変更したことで、事実上完全撤廃の目は消えた。それでも「30歳未満まで、65歳以上」まで非課税枠が広がれば、利用税全体で見れば約120億円の減収となる。これは都道府県分の約130億円に非常に近い数字。「そのため財政の苦しい市町村分ではなく、都道府県分から引いてほしいと要望を出している」(同課)という。

名を捨て実を取った苦渋の選択と言えば聞こえはいいが「なぜ、スポーツをするだけで税金を取られるのか」という正論は、またしても棚上げになる。

(日本ゴルフジャーナリスト協会会長代行・小川朗)
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