LPGAと主催者・テレビ局がまだ揉めていた!出口が見えない放映権問題の現在

▼“担当者”なのに答えられない

やはり、小林会長が出てこないとお話にならないか……
やはり、小林会長が出てこないとお話にならないか…… 【拡大】
日本女子プロゴルフ協会(LPGA)とツアー各主催者周辺の意識のズレが、相変わらず埋まっていないことが浮き彫りになった。

6月11日、都内でLPGAの主催者懇親会が行われた。「目的は来年の開催に向けた主催者さんにお集まりいただいてのミーティング」(LPGA)。2020年のツアー開催に向けてのスケジュールや、開催規定や規約の変更などが説明された。来年のツアーへの最初の一歩。だが、終了後、参加した主催者側の多くからは、徒労感やストレス、あきらめにも似た感想ばかりが飛び出した。

各大会3人以内という条件で、代理店や運営関係などの人間が集まり、約60人が出席したミーティング。LPGA側からは原田香里副会長ら理事3人と、一昨年から放映権について担当する二人を含む事務局員3人が出席したが、小林浩美会長の姿はなかった。

この日を皮切りに、8月30日に開催申し込み締め切り、9月30日に開催協約書締め切りというほぼ昨年と同じスケジュールがLPGAから告げられ、規定などの変更点も説明される。それ以上のことはなかったという。

しかし、出席者の多くは、一昨年からくすぶっている放映権について聞きたがっていた。だが、それについては、これまで同様のやり取りが繰り返されただけだった。今年のツアーに関しては、放映権を中心に「継続審議」としている大会も多い。それを含めた質問も少なくなかった。しかし、はっきりした返答があったものは極めて少なく「持ち帰って検討します」「個別協議となります」などの回答が続く。

共通の疑問も多いことから、(主催者やテレビ局などの多くが加盟している)日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)でまとめてもらって協議したら」という声も出たが「個別協議です」と突っぱねられる一幕もあった。「担当しているのはここにいる者だけ」という返答もあったというが、それが本当なら、なぜ、答えられないことがそんなに多いのだろうか。全国からこれほどの人数を集めておきながら予想以上に進展がない。「スケジュールと変更事項を書いて『あとは個別協議』のメールだけもらえば十分」「ただストレスがたまっただけだった」「説明会には相手のリアクションを想定して臨むのが基本なのに」「すぐに答えられないことが多いのはビジネスの基本ができていない」などと手厳しい声が出るのも当然だろう。放映権料をツアーに帰属させるためのプロセスをこじらせている原因はまさにここにある。

ゴルフ業界の古いビジネスモデルから脱却し、ツアー自らイニシアチブを取るという正論が、最低限のコミュニケーションを拒絶するという乱暴な手段と、ビジネスの稚拙さによって、曇ってしまっていると言い換えてもいいだろう。

LPGAは「主催者さんとの会ですから、内容についてはお答えできません」と、相変わらずのダンマリを決め込んでいる。

▼契約書なしの放送でトラブルに

もう一つ、シーズン半ばを迎えたツアーでは不思議なことが水面下で起こっている。一部の大会で交わすべき契約書が交わされないままテレビ中継が行われ、トラブルとなっているというのだ。

前述のように、男女問わず日本のツアー競技のほとんどは、広告代理店などがテレビ放映とセットで作るというビジネスモデルで始まっている。公式戦以外はLPGAや日本ゴルフツアー機構(JGTO)などのツアーが主催者になっておらず、これまで、ツアーとテレビ局の間で契約書が結ばれるというケースはないに等しかった。テレビ局が主催や後援に入っていることがほとんどで、放映権の帰属を主張するまでもなかったからだ。LPGAがこれを是正しようとしていることが一連の出来事の発端だ。

放映権を死守する局側が、開催協約書に上記のような経緯をしたためた“覚書”などを添えて提出したケースも多い。それらは『協議継続』の状態のまま、今年の大会を行っている。

その一方で、放映権も含めてLPGAの主張を全面的に飲み、協約書だけを提出した大会もいくつかある。現在、局とLPGAの間で契約書を巡るゴタゴタが表面化しているのは、実はこちらの場合だ。

LPGAは、テレビ局との二者契約を謳っている。つまり、テレビ局が主催者になっている場合を除き、主催者はこの契約には関与しないことになる。これまで契約書などないことを理由に、局側はこれを突っぱね、LPGAも催促はするが放送は当たり前のように行われる不思議な構図。大会終了後も状況は変わっていない。当事者は「契約に関してはお話しできません」と口をつぐむが、トラブルが起きているのは間違いない。契約書を要求するなら、ない場合にはそれなりの対応をするはずだが、とにかく放送だけはしてほしいというLPGAの思惑と、主導権を握られたくない局側の綱引きが透けて見える。『継続協議』となっている大会でも、来年に向けて様々な交渉が行われなくてはいけないのはいうまでもない。

旧態依然の慣例を今日まで続けてきた日本ゴルフ業界の慣例に警鐘を鳴らし、新たなスタンダードを構築しようとする努力は、今後を考える上で必要なもの。何度も繰り返すようだが、LPGAの方向性そのものは間違っていない。ツアーの自立こそが生き残りへの道なのは間違いないのだ。荒療治も、一時的な痛みもいいだろう。しかし、正論を堂々と主張すると同時に、ビジネス感覚を研ぎ澄まさなければ難しい。そのためにも、丁寧で誠意ある対応は必須なのだが、相手と真摯に向き合う姿勢はまったく見えてこないのが現状なのは残念でならない。来年以降のツアーに向けて、目の離せない状況はまだまだ続く。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※2019年8月6・13日号「芝目八目」より

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