高齢ドライバーの免許返上が話題になっても、クラブバスがなかなか増えない事情

千葉県の五井駅のようにクラブバスが多く発着する駅もあるが……
千葉県の五井駅のようにクラブバスが多く発着する駅もあるが…… 【拡大】
昨今、特に事故が目立つ高齢ドライバーの問題は、ゴルファーの高齢化という問題を抱えるゴルフ場にとっても極めて深刻だ。公共交通機関だけで行けるゴルフ場はごくわずか。最寄駅などからクラブバスなどがあればまだいいが、それも廃止となるコースが相次ぐ現状の中、対策はどうなっているのか。

『ゴルフバス直行便』という“秘策”を10月から始めようとしているのが、ケイ・アイ企画の生田憲一氏だ。日本オープン出場5回、日本アマ4位の実績を持ち、長い間、学習院大学ゴルフ部の総監督やKGAコースレート委員も務めた生田氏はこう語る。

「こうなるのは分かっていたから、2~3年前から準備をしていました。私はゴルフ界に思い入れがあるから、なんとかしなくてはと思って」

都内主要駅から近隣コースにいくつかに直行するバスを運行することを企画。その第1弾が、10月に始まる予定だ(予約開始は9月を予定)。コースは、目黒から品川を経由してアクアラインを通り、圏央道市原鶴舞インター周辺のコースへと回るもの。料金は往復4000円となっている。

「2025年には団塊世代がみな後期高齢者になるし、若者はクルマ離れしている。このまま放っておいたら大変なことになりますから。電車を使ってクラブバスに乗るのもいいが、宅配便代もバカにならない。その点、コース直行のバスなら、バスが出発する駅までバッグを持って来ればそのまま往復できる」と“直行便”を企画。最終的には常磐道、東北道、関越道にもルートを広げる予定でいる。これなら、運転が不安になって免許を返上した高齢者も、免許を持たない若者も安心してゴルフに行ける。

一方、高齢化が進んでいるのはゴルファー側だけではない、という現実もある。ゴルフ場の経営指導をする朝日コーポレーション代表・手塚寛氏は「従業員も高齢化しており、こちらの送迎まで考えなくてはならなくなってきている」と打ち明ける。

「すでにクラブバスを持っているコースさんはいいが、それ以外はバスを出す力があるかないか、という話になってしまいます。バス会社がドライバー不足に悩んでいる時代ですから、ドライバーもおいそれとはいない」(同前)

確かに、2種免許を持っている支配人やキャディマスターなどがドライバーを兼務していて驚いたという例もある。専任ドライバーを抱えるには人件費がかかるし、前述のようにドライバー不足でもある。だから、2種免許を持つスタッフがいなくなってやむを得ずクラブバスを廃止するコースもあるという。

ゴルフ人口減少と、その大きな原因の一つでもあるゴルファーの高齢化は、ゴルフ場へのアクセスという大きな問題と切り離しては考えられない。“直行便”が定着すれば、大きな効果は出るはずだが、残念ながらすべてのコースがその恩恵を得られるわけではない。

「地方ではゴルフ場だけではなく、地域そのものが問題を抱えていますから」という前出・手塚氏の言葉通り、ゴルフ業界だけでなく、地域とともに解決していくことを、早急に考える必要がある。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※2019年7月2日号「芝目八目」より

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