USGAが日本で初めて開催した鳴り物入りのシンポジウム 何が論じられた?

東京・新宿のヒルトン東京のバンケットルームを2日間にわたって借り切って行われた
東京・新宿のヒルトン東京のバンケットルームを2日間にわたって借り切って行われた 【拡大】
3月12日、13日の両日、全米ゴルフ協会(USGA)が主催する「ゴルフ・イノベーション・シンポジウム」が開催された。日米を中心にさまざまな国から延べ40人もの登壇者がいたこともあり、何が論じられたかをひと言で表現するのは難しいが、ゴルフというゲームが、これからいかにして生き残っていくかということが共通テーマであったように思う。

日本ゴルフ協会・竹田恆正会長の開会挨拶に続いて壇上に立ったUSGAのマイク・デイビスCEOが語ったのは、世界的にゴルフ場の運営が難しくなっているという危機感だった。

「世界3万5000のゴルフ場が環境面でも財務面でも持続可能性を高め、世界5000万人のゴルファーがゴルフをし続けられるようにしなければならない」

同じくUSGAのランド・ジェリス氏が、続く講演でデイビスCEOの危機感の源泉を詳しく説明した。

「現代のゴルフコースはより速いグリーン、多くのバンカー、長い距離、刈り高の低い均一なフェアウェイを求めすぎています。その結果、プレー時間が伸び、スコアが出ず、つまらなくなっているのです」

ジェリス氏の提示した資料によると、米国では年換算で水11.4%、栄養素10.4%、エネルギー3.7%、科学物質2.2%の割合でコース管理のコストが上昇し、ゴルフ場の経営を圧迫しているという。ゴルフ場の顧客満足度を上げるための支援ソフトを提供しているプレーヤー・ファースト社のジェイコブ・バクステッド氏は、ゴルファーの嗜好を分析した結果、「ビジターはメンテナンスのよさを重視するが、メンバーに関してはコースはそこそこでよく、クラブハウスの雰囲気やクラブライフなど、ソフト面を重視する傾向がある」と、断言した。確かに、オーガスタのようなメンテナンスをしたところで、普通のゴルファーにとってはオーバースペックで、時として苦しい思いをするだけなら、それは無駄なコストといえる。こうした分析は日本のコースにとっても参考になるのだろうか?

ゴルフ場の経営コンサルティングを行う株式会社TPC代表の飯島敏郎氏は、こう語る。

「う~ん、日本のゴルフ場はバブル崩壊後にかなり徹底したコスト削減に取り組んだコースが多いですからね。確かに管理エリアをもっと絞ってフェアウェイの周辺だけに散水するといった方法を取れば、水の使用量は減るでしょうが、日本の場合は水が豊富で、地下水を汲み上げて散水しているコースも多いですから、その場合、水は基本的にタダ。興味深い話は多かったものの、やはり米国のゴルフ事情と日本では異なる部分が多いので、何をどう持ち帰ったらいいのか、首を傾げているゴルフ場関係の聴講者は多いんじゃないでしょうか」

会期中には、メンテナンスのコストだけでなく、短縮プレーの推奨などさまざまな角度からゴルフの現代化に関するプレゼンテーションがあったが、質疑応答の時間もなく、米国の事例をどう日本で参考にしたらいいのか見えづらかったのは事実。ただでさえ画一的な傾向の強い日本のゴルフに、ゴルファーもハッピーになり、ゴルフ場も潤うような「イノベーション(革新)」が起こるのは、まだまだ先なのだろうか?

(本誌・金子信隆)
文・編集部 ※2019年4月2日号「芝目八目」より

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