森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(5)

ビジネスツールとしての色合いが強まってきている

 もっとも「失われた20年」と揶揄(やゆ)されたバブル崩壊やリーマンショックのあったこの間、女子ゴルフ界は宮里藍という新星のおかげで人気が持ち直し、企業は男子より女子トーナメントをやりたがった。それは宣伝効果を求める企業のありさまに違いない。そうして冠スポンサーの業種も様変わりしてきた。

 現存する日本のスポンサートーナメントで最古の中日クラウンズを例に挙げるまでもなく、ゴルフトーナメントの草創期、企業は自動車やタイヤメーカーなどが販売促進の一環として、トーナメントにかかわり、運営を手がけてきた。冠スポンサーの業種は、そこから消費者金融、パチンコ、ゲーム、IT企業と、時代の流れとともに変化していった。それはスポーツイベントが、企業のイメージアップ戦略でもあったからだ。

 そして冠企業にとってトーナメントは、そこからさらにプロアマというビジネスコミュニケーションツールというストレートな営業手段の色合いが強まっていく。簡単にいえば、目的は日本のビジネス風土に根づいた取引先の接待である。そこでは、視聴率やギャラリーの数より、むしろいかに取引先をもてなすか、というホスピタリティが問われる。

 オフィス先端機器メーカーのリコーにとって、さしずめ前者のイメージ戦略として取り組んだのが、全英リコー女子オープンであり、後者の接待コミュニケーションが、LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップなのはいうまでもない。こう考えると、撤退と存続という相反する二つの選択は、必然だといえるかもしれない。

 もっともゴルフ人口が減り続ける中、このままでいいわけはない。ゴルフトーナメントに求められるのは何か。そこを横山に聞いた。

「ゴルファーしかトーナメントに関心がないのは事実でしょう。だから、企業にとって実は割の悪いスポーツイベントだとも思います。だからそこを変えなければならない。LPGAの小林(浩美)会長と話していても、ゴルフの発展のためには、もっとゴルフの裾野を広げていく必要があり、ジュニア世代を育てなければならない、と。その意味では、2020年の東京オリンピックは、いい機会であり、畑岡奈紗選手のような若手が活躍してくれれば、と願います」

 本欄で取り上げた数々のゴルフトーナメントは、ゴルフを愛する企業トップや担当者によって支えられてきた。もとよりビジネス戦略上、スポンサーを諦めるケースもある。一方、採算を度外視して続けてきた企業も少なくない。トーナメントそれぞれの歴史と個性を大切にしながら、改革していく必要がある。

(了・文中敬称略)
Written by Isao Mori
※週刊パーゴルフ(2018年11月20日号)掲載


森功(もり・いさお)
1961年生まれ、福岡県出身。確かな取材力と筆力で真相を抉るノンフィクション作家。2008年『ヤメ検』、09年『同和と銀行』(ともに月刊現代)で2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。ゴルフ歴15年

※長らくのご愛読ありがとうございました。


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