森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(5)


会社が苦しくなってやめるくらいなら、メジャーのスポンサーなどしないほうがいい

2年近くにわたって連載してきた「芝と冠」も今回で最終回。ゴルフトーナメントの主催者や冠スポンサーを務める企業を10社取り上げ、企業がトーナメントにかかわる意義や目的を探ってきたが、取材を通して見えてきたものとは何か?最後に取り上げたリコーの姿勢に、その答えが凝縮されているのかもしれない。

端境期(はざかいき)を迎えるトーナメントの取り組み方

シーズン最後の記念写真に納まるLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ出場選手たち(2017年大会)
シーズン最後の記念写真に納まるLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ出場選手たち(2017年大会) 【拡大】
「やめたくてもやめられない」

 長年、リコーでトーナメントにかかわってきた経営企画本部コーポレートコミュニケーションセンター所長の横山基樹(53)が、そう言い切った言葉の裏には、複雑な思いがある。

「ゴルフトーナメントには、むろんプロアマでお客さまを招待してビジネスにつなげたいという考えもあります。しかし、それだけでもない。リコーカップはLPGA国内メジャーの最終戦です。われわれスポンサー企業としては1年の賞金ランキングトップ25人と、その年の優勝者が集まる大会を育ててきた誇りがあります。本当のスポンサーシップの意義がそこにある。儲(もう)からないからやらないだとか、会社が苦しくなったからやめるだとか、そういう判断をするのであれば、メジャーなんかスポンサードしないほうがいい」

 全英リコー女子オープンとLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ。海外メジャーと国内メジャーという二つの冠トーナメントを催してきたリコーには、スポーツイベントにおける明らかな企業戦略の違いがあった。リコーは、インターネットに代表されるデジタル時代への対応として、全英女子オープンから撤退した。一方、国内メジャーは取引先企業との有効なコミュニケーションツールとして存続させる。対照的なビジネス戦略は、あたかも日本企業におけるゴルフトーナメントの取り組み方が、端境期を迎えているように思えてならない。

 同じスポーツイベントでも、プロゴルフトーナメントは、野球やサッカーなどと根本的なところで性格を異にする。平たくいえば、野球やサッカーは見るだけのファンが数多く存在する。野球をやったこともない若い女性が、日本シリーズで戦う広島東洋カープのためにテレビにかじりつき、あるいは球場まで足を運ぶ。

 だが、トーナメントでゴルフ場に駆けつけるほとんどはプレーをするアマチュアゴルファーであり、自分自身がラウンドするときの参考にするためにプロの技を盗もうとテレビ観戦をする。

 野球やサッカーに比べ、ゴルフは裾野の狭いスポーツといえる。したがって日本におけるゴルフ人口の増減が、トーナメントの浮き沈みや成否に直結する。1980年代後半のバブル経済期、爆発的なゴルフブームが到来した際には、ゴルフ場が建設ラッシュに沸き、トーナメントのテレビ視聴率はピークに達した。

 そこから泡沫(ほうまつ)景気が吹き飛ぶと、国内のゴルフ熱が一挙に冷めた。そうしてトーナメントの冠スポンサーから撤退する企業が相次いだ。とりわけ男子トーナメントの不人気は、石川遼という若きスターの登場を待つまで続いた。

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